第190回通常国会

2016年3月17日 総務委員会



■地方税法等の一部を改正する等の法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案
@地方創生が叫ばれて、高齢者が増えていく、地域の実情に沿った福祉施策の充実が求められる中で、一般財源総額が維持されただけで良いのか。
A地方一般財源総額を、実質的に同一水準を維持すれば、自治体の増大する行政経費は賄えるのか。例えば、社会保障関係費の自然増分は、どのように確保されていくのか。
B法人事業税の所得割の税率引下げに伴う代替財源として外形標準課税の割合を8分の3から8分の5に引き上げるが、黒字企業を優遇してその穴埋めを赤字企業も含めて負わすのは問題だ。
C総務省は、外形標準課税の対象となる資本金の引下げは考えていませんね。
D政府が、自治体が財政危機にあえぐ現状を逆手に取って、交付団体と不交付団体間を分断し、国が本来負うべき地方交付税の原資の捻出を一部自治体の負担で行うのは、地方分権の流れに逆行する。
E財政力格差是正や地方財政の健全化のためには、地方への税源移譲を進めるべきだ。今回の税源移譲は、地方税財源の充実には全く不十分だ。
F2013年11月にまとめられた地方法人課税のあり方等に関する検討会(座長:神野東大名誉教授)の報告書では、地方消費税の充実又は消費税に係る地方交付税法定率分の地方消費税化と、法人住民税法人税割の地方交付税原資化による税源交換を基本的な目標とすべきだと指摘している。大臣の見解は。


○又市征治君 社民党の又市です。
 来年度の地方一般財源総額が、骨太方針2015において、2018年度まで15年度地方財政計画の水準を下回らないように実質的に同水準を確保する、こういうふうに決められたわけですが、財政危機が指摘をされる中で、これはこれで意義があることだとは思います。しかし、他方で、地方創生が叫ばれて、高齢者が増えていく、地域の実情に沿った福祉施策の充実が求められる中で、一般財源総額が維持された、それだけでよしとすることができるか、そういうわけにはいかぬと思うんですね。
 そこで、我が党としては反対ですけれども、最近ではその再延期もささやかれている消費税10%の増税が来年4月からやろうとしてきているわけで、自治体における税収増も見込まれるのに同一水準というのはどうもこれはおかしな話だ、こう言わざるを得ません。
 そこで伺いますけれども、地方一般財源総額を、実質的に同一水準を維持することで、増大する行政経費は賄えるのかどうか。例えば、社会保障関係費の自然増分、どのように確保されていくのか。自治体が独自に財源を捻出せよと言うのか、ここのところをもう少し説明してください。

○国務大臣(高市早苗君) 地方財政計画でございますけれども、多くの行政分野で国と地方の役割分担を法令などによって定めているということで地方に支出を義務付けていることなどから、国として地方団体が標準的な行政水準を確保できるように地方財源を保障すること、そして国の予算に計上された施策や事業を盛り込んでこれらが着実に実施できるようにしていることといった役割を持つものでございます。
 このような地方財政計画の役割の下で、骨太方針2015で示された方針を踏まえまして、平成28年度の地方財政対策においては、国の制度等の見直しや国の一般歳出の計上の動向、そして今、又市委員より御指摘がありました社会保障・税一体改革における社会保障充実分のほか、まち・ひと・しごと創生事業費を引き続き1兆円確保するとともに、地方における喫緊の重点課題に対応するために重点課題対応分を0.25兆円確保するといったことで、地方財政計画の歳出に必要な経費を適切に計上した上で、地方の一般財源総額について前年度を0.1兆円上回る61.7兆円を確保をしたところでございます。
 ですから、地方団体が必要な行政サービスを提供しながら安定的な財政運営を行えるように一般財源総額を確保できたと考えております。

○又市征治君 財政状況が厳しい厳しいと言いながら、莫大な内部留保をため込んでいる企業には法人税を減税するなどというのは全くおかしげな話で、今の話じゃありませんが、増えた分も、自治体ではどんどん増えていく、すると、増えた分があるけれども、片一方で総額同一と、こういうことになるわけですから、逆に減らさなきゃならぬ、帳尻合わせをやられる。こういう格好で、本当に必要なところも国の施策に合わせて逆に言うならば減額されてしまうということもある。
 そういう点で、総務省は総額確保ということで大変頑張ったというふうにおっしゃるんだが、どうも手放しで評価するわけにはいかない、もっと頑張ってもらわにゃいかぬということは率直に申し上げておかなきゃならぬと思うんです。
 次に、法人税減税と外形標準課税、今、吉良さんからもありましたけれども、この欠点について伺います。
 来年度の税制改正において、法人実効税率が現行の32.11%から29.97%に引き下げられる。ところが、安倍政権が成立して間もなくの2013年の第4・4半期の利益剰余金、企業の利益剰余金が323兆4280億円、直近の15年度第3・4半期が406兆7760億円、どんどん拡大しているわけですね、26%ぐらい拡大している。
 このような中で、法人税減税が経済政策としていかなる意義があるのか、このことは全くまともな説明がなされていない。何か設備投資や賃上げに回すために、全然そこには回っていないわけですよ。株、海外の投資に回ったり、あるいは企業合併に回ったり、或いは長期の株を買い占める、こんな格好に回されている、こういう状況なわけですが、そういう意味では、事実上、法人税減税などというのは企業の利益剰余金の拡大にしか寄与していない、こういう指摘が様々経済学者などからもされているということです。
 それはそれとして、ここで問題にしたいのは、法人事業税の所得割の税率引下げに伴う代替財源として外形標準課税の割合を8分の3から8分の5に引き上げるということですけれども、黒字企業を優遇してその穴埋めを赤字企業も含めて負わすというのは、これはもう大変問題だ、こう言わざるを得ません。
 また、現在、外形標準課税は資本金1億円以上を対象にしていますけれども、与党にはこれを引き下げろ、1億円からもっと下げたらどうだという主張もあるようですけれども、総務省としては、外形標準課税の対象となる資本金の引下げという問題は、これは考えていませんね。

○国務大臣(高市早苗君) これは現段階でも、与党の税制改正大綱において、資本金1億円以下の法人に対して一律に同一の制度を適用していることの妥当性について検討を行うと書いてあります。その上で、地域経済、企業経営への影響も踏まえながら引き続き慎重に検討を行うとされていますので、今後、税調での議論を見極めていく、注視をしていくということでございます。

○又市征治君 本来、課税というのは応能負担が原則だと思うんですね。そういう意味で、消費税のように一律に課税することの方が問題なわけですけれども、今やられようとしているのは黒字企業の負担を他の赤字会社も含めて転嫁をする、持てる者をますます豊かにするという格差拡大政策、こう言わざるを得ぬということを申し上げておかなきゃならぬと思います。
 次に、地方法人課税の偏在是正措置についてお尋ねをいたします。
 法案では、消費税を10%に増税するときに財政力格差を是正するということで、法人住民税法人税割の税率を引き下げ、その引下げ相当分を国税である地方法人税率の引上げ分を回して地方交付税の原資化をするということを、これは2014年から導入されているということがありますが、政府は、今回の与党税制改正大綱について発表した全国知事会の声明によって自治体の支持を得たというふうにどうも捉えられているようですけれども、しかし、政府がその責任の一端を負うべき自治体が財政危機にあえぐ現状を逆手に取って、交付団体と不交付団体間を分断し、国が本来負うべき地方交付税の原資の捻出を一部自治体の負担で行うというのは、これは、私は毎回申し上げていますが、地方分権の流れにやっぱり全く反する、逆行するものだ、こう言わざるを得ぬと思います。
 まず、この点についての見解を一つ目にはお聞きをします。
 二つ目に、そもそもこの財政力格差是正や地方財政の健全化のためには、地方への税源移譲を進めるのが王道だろうと思います。今回の税源移譲は、見るべきものはなく、地方税財源の充実には全く不十分なんだと思うんですが、この点どのようにお考えか、お伺いをしましょう。
 第3に、2013年11月にまとめられた地方法人課税のあり方等に関する検討会、座長は神野東大名誉教授でしたけれども、この報告書では、地方消費税の充実又は消費税に係る地方交付税法定率分の地方消費税化と、法人住民税法人税割の地方交付税原資化による税源交換を基本的な目標とすべきだと指摘をされています。
 今後の論議の方向性として考えるべきだと思いますけれども、この点はどのように総務省としてはお考えになるのか、伺っておきます。


○国務大臣(高市早苗君) まず1点目でございますが、地方分権推進の観点からは、地方団体が自らの財源である地方税によって財政運営を行うことが望ましく、これまでも所得税、つまり国税から個人住民税、地方税への3兆円の税源移譲など、地方税の充実には取り組んできております。
 ただ、個々の地方団体ごとに見れば、多額の財源超過額が生じている団体もあり、一方で税収が少なく財政力の弱い団体もあり、今後地方税の比重を高めていくということのためには、どうしても税源の偏在性が小さくて税収が安定的な地方税体系を構築していくということが必要でございます。
 今回の法人住民税法人税割の交付税原資化は、地方消費税の税率引上げによって地方の税財源が拡大する中で行うものであり、また国税化された税収全額が地方の固有財源である地方交付税の原資となることから、地方分権の推進に資するものだと考えています。
 2点目でございますけれども、やはり国と地方の税源配分については、国と地方の税源配分を5対5とすることを一つの目標とし、これに基づいて所得税から個人住民税への3兆円の税源移譲を行ったということでございます。
 ただ、やはり国と地方の財政健全化、地方団体間の財政力格差にも考慮することが必要です。かなり難しい課題ではございますけれども、今後とも、税源の偏在性が小さい、税収が安定的な地方税体系の構築に留意しながら、各地方公共団体の仕事量にできる限り見合った税源配分となるように地方税の充実確保に努めてまいります。
 3点目でございます。確かに、御指摘のように、消費税に係る地方交付税法定率分を地方消費税として地方法人2税を地方交付税原資とする税源交換につきましては、一つの方法でありまして、地方財政審議会からも提案されております。
 一方で、税制抜本改革法においては、地方消費税の引上げ分の全額を社会保障財源化するとともに、社会保障の役割に応じて国、地方間で配分し、併せて地方法人課税の在り方を見直すことにより、税源の偏在性を是正する方策を講ずるということにされました。
 平成26年度の税制改正と今回の改正におきましては、この地方法人特別税・譲与税制度を廃止して、地方消費税の引上げと併せて法人住民税法人税割の一部を交付税原資化することに一本化したところでございますが、この方法が現実的また合理的と考えられます。地方交付税における地方消費税の比率を高めるものでありまして、税源交換と方向性は同じくするものであると認識をいたしております。

○又市征治君 いろいろと長々と講釈いただき、ありがとうございました。
 ただ、僕はやっぱり、ずっと申し上げていますけれども、総務省は随分と弱腰になってきたな、自治体間の財政力格差是正のは国の責任で行わなきゃならぬのだというこの理念というかそういう認識、どうもこれが後退してきているような気がしてなりませんよ。
 何か小手先で、先ほども述べたように、自治体間の格差を逆手に取って一部団体をターゲットにするというのはもう責任転嫁以外の何物でもないわけであって、そういう点では、交付税そのものの総額をどう増やしていくか。だから、率を引上げを図るべきだということをずっと一貫していて、これはもう与野党問わずにその点は認識が一致しているんだろうと思うんですけれども、その立場に向かってもっと努力をいただきたい。
 この点を申し上げて、今日1日目の質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。