第190回通常国会

2016年3月22日 政府開発援助等に関する特別委員会



■平成28年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中の政府開発援助関係経費についての委嘱審査
○キューバ―関係について
@対西側諸国との経済関係の発展は、キューバ社会にどのような影響を与えていくと外務省分析しているのか。
A今後、ODAとしてはどのようなプロジェクトを考えているのか。
Bキューバ―の対日債務の現状は。
C政府として、今後、日本とキューバの経済関係全体の発展についてどのような見通しなり展望をもっているのか。


○又市征治君 社民党の又市です。
 先ほど来出ていますが、17年ぶりにODA予算が増加したことは率直に評価したいと思います。
 その上で、今日はキューバとの関係の問題をお聞きしたいと思います。
 私は2010年に日本とキューバとの友好組織の一員としてキューバを訪問をいたしました。当時、2年連続で巨大なハリケーンに襲われて、多くの建物が破壊されたりなんか、大変厳しい困難な状況の下で国づくりを進めるという状況にございました。その後、キューバを取り巻く情勢は随分変わってまいりまして、昨年、アメリカとの国交回復ができる、そして今オバマ大統領がキューバに今日も訪ねている、こういう状況になって。
 まさにキューバそのものは、アメリカの箱庭と言われるように、アメリカからの経済封鎖で大変な困難な中で経済建設を進めてきたという状況がありますが、昨日来の会談の中でも、経済的な支援という格好そのものが進んでいくという状況になっているようでありますし、また、アメリカだけではなくて、EUも聞くところによれば63億円の援助で合意したとお聞きいたしていますが、そういう意味では、西側諸国からのそうした経済関係の拡大が行われているということでありますけれども、対西側諸国との経済関係の発展というのは、経済だけではなくて、キューバ社会にどのような影響を与えていくか、どのように外務省としては見ておられるか、その点、率直にお伺いをしておきたいと思います。

○国務大臣(岸田文雄君) 昨年5月、私自身も日本の外務大臣として初めてキューバを訪問させていただきました。その際に、様々な経緯についてお話を伺ってまいりましたが、かつて日本はキューバとは大変深い貿易、経済関係があったわけであります。しかし、その後、ソ連の崩壊等を受けて、キューバ経済、大変な大きな打撃を受け、そして今日に至っているわけです。
 そして、今、アメリカとの国交回復等を受けて世界中からキューバが注目を集めているわけですが、昨年5月、キューバを訪問させていただきました際に、ロドリゲス・キューバ外相と外相会談をやり、その中での話でありますが、キューバ政府は、現在の社会制度を守りつつも、国民との対話を行いながら経済成長と持続可能性を重視しつつ、経済社会モデルの現代化に取り組んでいる、こういった説明を受けました。そして、この方針に従って、キューバとしては、外国投資法の改正あるいは開発特区への外資の呼び込み、こういったものを進めていると承知をしております。西側諸国との経済関係が復活し盛んになるということは、キューバの外務大臣から説明があったこうしたキューバの方針を後押しすることにはなるのではないか、結果としてキューバの社会開発に寄与することになるのではないか、このように受け止めてはおります。

○又市征治君 いろんな援助やそうした協力が、やっぱりキューバ国民の生活の向上につながっていかなきゃ余り意味がない、こういうふうに申し上げなきゃならぬと思うんです。
 そこで、次に、開発協力白書2015年版を読みますと、現在、キューバ関係では、2012年以来、中部地域5県における米証明種子の生産に係る技術普及プロジェクトが進行しているということのようであります。このプロジェクトは、キューバの主食、米なわけですけれども、この米の自給率の向上を目指しているとのことですけれども、具体的な内容についてもう少しお聞きをしておきたい。また、今後ODAとしてはどのようなプロジェクトを考えているのか、この点もお聞かせをいただきたいと思います。
 あわせて、この開発協力白書によりますと、日本のキューバに対する援助実績は贈与だけで、政府貸付け等がないわけですね。聞くところによりますと、対日関係ではまだ債務が残っている、当時行ったときに、1800億円といいましたか、そういうことだったと思いますが、その関係を含めてお聞きをしたいと思います。

○政府参考人(山田滝雄君) 対キューバの援助の現状でございますけれども、2014年度のODAの供与実績は、技術協力が4.72億円、草の根・人間安全保障無償資金協力等の無償資金協力が1.54億円ということでございます。技術協力につきましては、今委員より御指摘がありました中部地域5県における米証明種子の生産に係る技術普及プロジェクト等を行っておるということでございます。
 それと、今後の支援でございますけれども、このような従来の支援に加えまして、昨年5月に岸田大臣がキューバを訪問された際に、本格的な無償資金協力を開始することを表明いたしました。これを受けまして、現在第1号候補案件として、医療機材を整備するための支援に関する調査を実施しているところでございます。また、第2号候補案件としては、農業機材整備案件の調査を近々開始する予定でございます。
 次に、キューバの債権について御説明申し上げます。
 我が国は、非ODA債権、貿易保険の債権でございますが、これを保有しております。このうち、短期の貿易保険につきましては2013年5月にキューバ側との間でリスケに合意しており、日本貿易保険、NEXIは、2013年7月にキューバ向けの短期貿易保険の引受けを再開しております。また、中長期債権につきましては、昨年12月、キューバとパリ・クラブ債権国との間で延滞債務解消に係る合意が形成されました。我が国は、この合意を踏まえまして、キューバとの間で国際約束の締結交渉を行っているということでございます。
 今般の合意によりまして、1986年以来返済が滞っていた我が国債権回収への道筋が付くことになりましたので、これがキューバとの国際金融市場への復帰にも寄与することを期待しているところでございます。

○又市征治君 債務関係、債務問題が一定の解決というか方向性が出されたことは、歓迎したいと思うんですけれども。
 そこで、日本の場合、距離的な問題もあって、アメリカやEUのようにキューバとの経済関係が急速に拡大をするということはなかなか考えにくい、そういう問題があるかと思います。また、社会体制の違いもあるわけでありますが、両国の経済関係の発展に影響を与える可能性もあるのかなと思っていますが。
 しかし、例えば社会体制が違っても、ベトナムと日本との関係、大変にそういう意味では良好な格好にあるわけですが、体制の違いを超えて関係を深めることは当然のことできる。大臣も、その点が去年お話しになってこられたところだろうと思うんです。
 大変親日的な国民ですよね。私も行くまで知らなかったんですが、1961年に、あの日本のテロに倒れた浅沼稲次郎社会党の委員長を追悼する意味で浅沼稲次郎紡績工場と、浅沼稲次郎という名前を付けた工場が依然としてあるわけですね。そして、今も稼働している。キューバ東部のヒバラという地域ですけれどもね。そういうくらいの、日本に対する親日的な関係もある。また、日本からの入植者といいますか、かなりおられるわけですね。そういう関係で米作りなどというものも一生懸命やっているということもあるんですが。
 政府として、今後、日本とキューバの経済関係全体の発展についてどのような見通しなり展望をお持ちなのか、この点を最後にお聞きしておきたいと思います。

○政府参考人(高瀬寧君) お答えいたします。
 アメリカとキューバによる外交関係の再開やその後の関係正常化に向けた動きを受けまして、日本の企業も大変キューバに対するビジネスについての関心を高めております。また、キューバ政府も、先ほど外務大臣から答弁しましたとおり、外国投資法の改正や開発特区の創設などを通じまして外国投資の誘致に取り組んでおります。
 しかしながら、まだ例えば二重通貨制度等の制度上の障壁がありまして、外国企業のキューバ進出はまだまだ難しい状況にございます。そのような中で、昨年5月の大臣のキューバ訪問の際にも、経済ミッションに同行していただきましておりますし、また、大臣がキューバ訪問をされた際にキューバ側と合意しました官民合同会合というのがございまして、これも第1回会合を昨年ハバナで開催しております。これらの会合を通じまして、官民一体となって両国の関係改善、経済関係の強化に向けて協議をしているところでございます。
 政府といたしましては、引き続き、我が国の民間とも緊密に連携を行い、キューバとの経済関係の強化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。

○又市征治君 キューバの観光資源も非常に豊かであります。日本から遠いようだけれども、現在は乗換えなしでその日のうちにキューバへ着ける、日本に来れる、こういう飛行機便もできました。そうした日本の観光業などのノウハウみたいなこともむしろ向こうの側に伝えていく、そういう関係も含めてお互いにウイン・ウインの関係ができるように是非努力を続けていただくことをお願い申し上げて、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。