第190回通常国会

2016年3月22日 総務委員会



■地方税法等の一部を改正する等の法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案
@総務省は、引き続き法定率の引上げを求めていくのか。
A財政危機という一般的なことではなく、法定率引き上げのネックになっているものは何か。
B臨時財政対策債の元利償還金の返済は、後年度の地方交付税の基準財政需要額に算入すると言われているが、将来にわたって大丈夫なのか。
Cまち・ひと・しごと創生事業の地方交付税への算定にあたり、配分方法を国策に誘導する形で行うのは問題だ。
Dトップランナー方式の導入に当たっての但し書き、「財源保障機能を適切に働かせ、住民生活の安心、安全を確保することを前提として取り組む」の意味は。
Eトップランナー方式の導入により、自治体によっては雇用問題が発生すると思うが、その認識は。
F遊休農地課税について、なぜ遊休地が増大しているのか。
G今回の農地課税の変更で、農地バンクの耕地集積に対する貢献度は、どの程度高まるのか。
H農地課税だけで、農地の集積ができるのか。現に農業を営んでいる人たちが、安心して継続的に農業を営むことができる施策の充実を真剣に考えるべきだ。


○又市征治君 社民党の又市です。
 まずは、地方の財源不足問題についてお尋ねしたいと思います。
 前回も取り上げたわけですが、地方財源総額の水準が実質的に維持されるということはそれなりに評価いたしますけれども、しかし、地方財源の不足というのは、リーマン・ショックなどにおける影響から徐々に解消されつつあるとは言いながら、来年度も5.6兆円と依然高い水準です。そして、1996年度以来、来年度まで連続21年間、地方交付税法第6条の3第2項の規定に該当する状況にある、こういうことだと思いますね。
 このような中で、昨年度、いわゆる折半ルールを維持する一方で法定率の見直しが行われましたけれども、しかし、これは昨年も指摘したんですが、それによる増収は僅か900億円にしかすぎないわけで、実に中途半端と言うか、僅かの法定率の引上げで終わりました。
 そこで伺いますが、総務省は一般会計からの繰入れや臨財債の発行に依存しない地方財政の確立のために、引き続き当然法定率の引上げを求めていかれますね。この点がまず第一点。
 それでまた、財政状態が深刻とは言いながら、そういう一般的な事情ではなくて、何が具体的な法定率の引上げのネックになっているのか。安倍政権は選挙のある年には地方創生だとかあるいは一億総活躍社会だとかというのを派手に言い立てるわけですが、肝腎の予算配分ではちゅうちょする。こういう格好では所詮選挙向けのポーズとしか国民は見えない、そういう批判がかなりありますけれども、大臣、この点についてはどのようにお答えになるのか。この二点、お願いします。

○国務大臣(高市早苗君) 地方財政の健全な運営のためには、本来的には、臨時財政対策債のような特例債による対応ではなく、法定率の引上げによって地方交付税を安定的に確保するということが望ましい方向だと考えております。
 28年度の地方財政においては、引き続き巨額の財源不足が生じ、地方交付税法第6条の3第2項の規定に該当することが見込まれることから、同項に基づく交付税率の引上げを事項要求いたしました。しかしながら、28年度地方財政対策におきましては、法定率の引上げにはよらず、国と地方が折半して補填することを基本に、国は一般会計からの地方交付税の特例加算、地方は臨時財政対策債の発行により対処することとしました。その上で、地方交付税についてはほぼ前年度同額を確保しています。
 今後も、法定率の見直しによる交付税総額の安定的確保につきましては、政府内で粘り強く主張して、十分に議論をしてまいりたいと思います。
 なかなか困難な事情としては、国、地方を合わせてGDPの2倍に相当する1000兆円を超える巨額の長期債務残高を抱え、毎年度の財源不足に対して赤字国債や臨時財政対策債の発行によって対処しているという状況にあることから、法定率の引上げ、昨年は何とか頑張れたと思うんですけれども、今回、それほど容易な状況ではなかったということでございます。しかし、引き続き努力をしてまいります。

○又市征治君 法定率の引上げ問題について言えば、まさにここの委員会の誰もが賛成する、野党側はみんな応援する、こういう立場ですから、是非そういう意味で、自治体の権利を拡充する立場から、毅然として財務省などとの交渉も頑張ってもらいたい、そのことを付け加えておきたいと思います。
 次に、臨時財政対策債の元利償還金の返済について伺います。
 今年度は、地方税の増収もあって臨財債の発行額は前年比7370億円減、マイナス16.3%、こういうことのようであります。一見、交付税特別会計借入金の償還額拡大や臨財債の抑制によって地方財政の改善が進んでいるように見えるわけですけれども、しかし、新規発行額こそ減少傾向にありますが、元利償還額は、2006年の8272億円から今日では3兆円を優に超える、こういう格好ですね。そして、元利償還金は、基本的には新規の臨財債を発行することによって賄われる。これについては後年度の地方交付税の基準財政需要額に算入するということですけれども、将来にわたって本当に大丈夫なのかというのが偽らざる地方の声なわけです。
 この点は、国として地方に対してしっかり約束をこの場でも明確に大臣していただきたいと思います。

○国務大臣(高市早苗君) 臨時財政対策債の償還につきましては、マクロベースにおいて元利償還金の全額を毎年度の地方財政計画に計上することによって所要の財源を地方全体として確保しています。その上で、ミクロベースにおいて個別団体における臨時財政対策債の元利償還金については、その全額を後年度地方交付税の基準財政需要額に算入することによって、各地方団体が確実に償還できるよう財源保障をしています。
 各地方団体が臨時財政対策債を確実に償還できるようにする、この財源保障につきましては、今後とも地方財政計画の策定、地方交付税の算定を通じ、確実に対応をしていくこととしております。

○又市征治君 確実に政府としては、この点は地方に補填をしていくということのお約束を、政府を代表してされたものと受け止めていきたいと思います。
 次に、昨年も伺いましたが、問題点も指摘いたしました、まち・ひと・しごと創生事業の地方交付税への算定についてお尋ねをしたいと思います。
 算定に当たっては、地域の元気創造事業費、この中身では、3000億円が行革努力分、1000億円が地域経済活性化分として配分することにされております。本来の地方の財源である地方交付税の配分方法、配分内容を国が勝手に決めることはまず問題だと、昨年もこのことは申し上げました。しかも、自治体の政策を国が望む政策に誘導するために地方交付税を用いるということは、まさに分権の流れに逆行するものだと言わざるを得ません。さらに、この行革努力分のうち人件費関係の中身は、職員削減率であるとかラスパイレス指数であるとか人件費削減率、こういう格好にされているわけですが、賃金を削る、職員を減らすことがあたかも行政の先見性を示すかのような、これが行革だなんというのは、全く時代錯誤と言うしかないと私は思います。
 政府として賃上げで経済の好循環を叫びながら、足下のむしろ自治体レベルでいうならば、賃下げや人減らしを方針にするというのは、全く矛盾そのものじゃありませんか。賃上げ要求というのは、政府が言っている財界に対して賃上げ要求、賃上げをしてくださいというのは単なるポーズなのか、こう言わざるを得ぬわけでありまして、人件費は、去年も申し上げましたが、コストではなくて良質な公共サービス獲得の投資だと考えるのが時代の趨勢ではないか、こう思いますが、大臣の見解を伺いたいと思います。

○国務大臣(高市早苗君) 地域の元気創造事業費の算定に当たりましては、人口を基本とした上で、各地方団体の行革努力などを加味することとしています。これは、各地方団体が様々な行革によって捻出した財源を活用されて地域経済活性化の取組を行っておられますので、積極的に行政改革に取り組まれた団体においては、地域経済活性化に係る財政需要も多額であると考えられることを踏まえたものでございます。
 また、算定に当たりましては、行革努力に関連する全国的かつ客観的な指標を用いて公平に算定していますので、国の政策誘導ということには当たらないと思っております。さらに、指標につきましては、その職員数の削減率やラスパイレス指数といった人件費に関する指標だけではなくて、人件費を除く経常的経費の削減率や地方債残高の削減率を用いるということによりまして、各地方団体の行革努力を多面的に反映することといたしております。

○又市征治君 いや、そうおっしゃるが、現実に文書で上がっているじゃないですか。まさにラスパイレス指数であるとか職員の削減率であるとか人件費削減率ということを言っている。もちろん、今おっしゃったようなほかの指数もありますよ。だけど、問題なのは、行革をすればするほど交付税は多くなりますよなんて言い方をすると、なりふり構わずにそこへ行くんですよ。現実に保育所を民営化したり、学校給食を民営化したり、そのことによって良質なサービスが落ちる、こういう問題があちこちで起こっておる、そういう実態というものをもっとしっかりと見るべきだということを、率直に申し上げておきたいと思う。
 その関連で、次に、いわゆるトップランナー方式の導入についてもお尋ねをしたいと思います。何人かから、このことについても今日も出ております。
 トップランナー方式とは何か。歳出効率化に向けた取組で、他団体のモデルとなるようなものにより先進的な自治体が達成した経費水準の内容を基準財政需要額の算定に反映する。こういうふうに言われているわけでが、ただし書が付いておって、その際、財源保障機能を適切に働かせ、住民生活の安心、安全を確保することを前提として取り組むと。
 このただし書、これこそが本質なんじゃないのか、こういうふうに思うんですが、むしろ話が逆さになっているんじゃないのか、こういうふうに思うんですが、この点についてはどういう意味があるんですか。

○国務大臣(高市早苗君) このトップランナー方式を導入するに当たりましては、法律などにより国が基準を定めている業務や地域振興などの業務は対象から除外しています。多くの団体で民間委託等の業務改革に取り組んでいる業務を対象としております。そして、地方団体への影響なども考慮して、複数年掛けて段階的に反映するということとともに、小規模団体などの地域の実情を踏まえて算定を行うということにしております。このトップランナー方式につきましても、地方団体の御意見も十分に踏まえた上で適切に交付税の算定を行うということにしております。
 また、一般財源総額の確保につきましても、28年度は地方団体が安定的に財政運営を行うことができるように前年度を0.1兆円上回る額を確保するとともに、地方交付税についても前年度とほぼ同程度の額を確保しています。このように、交付税の財源保障機能を適切に働かせ、住民生活の安心、安全を確保するということにしているところであります。
○又市征治君 先ほども申し上げましたが、自治体の現場に行って、こういうものが示されてくると、歳出の効率化といえば人件費の削減ありき、こういう方向になる。例えば、それは議会筋などでもそのことが一番見えやすい、或いはまた、一番議員の皆さん方訴えやすい、こういう格好になるから人件費削減ありき、こういう格好になっていく傾向が非常に強い、そんなことがこれまでも随分とあるわけですよ。
 このただし書の中身こそが本筋であって、どうもやられていることは、鼻先にニンジンぶら下げて、それでまさに自治をゆがめる、政策誘導やっていませんとおっしゃるが、まさにそういう意味では、総務省の考える方向に持っていきたい、こういう格好に見えてしようがない。このことは厳重に忠告を申し上げておきたいと思います。
 そこで、このトップランナー方式の導入については、23業務を対象として、そのうち16業務は来年度に着手して複数年掛けて段階的に反映を進めるということのようであります。
 資料によると、これらの業務については、民間委託等、指定管理者制度、庶務業務の集約化、さらには情報システムのクラウド化、こういうことなどが挙げられています。これらの業務改革は多くの自治体で行われていると思いますけれども、それによるメリットとかデメリットについて、調査は一体全体総務省としてやられているのかどうか。調査されているならば、どのような結果が出ているのか。例えば、学校給食の民営化などについて様々な、現場ではと言うか、それぞれの住民の間では様々な意見が出されているように思いますけれども、そういうことについても何かお示しになっているのかどうか、あれば紹介していただきたいと思います。

○政府参考人(渕上俊則君) お答えいたします。
 民間委託等、或いは指定管理者制度の活用につきましては、それぞれの地方公共団体におきまして、地域の実情に応じて、民間の能力やノウハウが活用されることによりコスト削減やサービスの向上が図られるという業務を選定いたしまして、それぞれ取組が進んでいるものと思っております。
 現時点で、新しい調査でございますけれども、平成26年10月時点のものがございます。これにつきましては、トップランナー方式の対象となっている業務を含めまして、定型的な業務を中心に民間委託の活用等が進められているというふうに思っております。昨年8月に発出いたしました通知におきまして、民間委託等の推進に当たりましては、あくまでも委託した事務事業についての行政としての責任を果たし得るよう、適切に評価、管理を行うことができるような措置を講ずることといたしておりまして、適切に取組を促しているところでございます。
 それから、メリット、デメリットについてのお尋ねがございましたけれども、私どもとしては、現在のところ、民間委託等の推進や、あるいは指定管理者制度の活用につきましては、それぞれの地域の実情に応じて行われているということでございますので、来年度実施をいたしますヒアリングなどを通じまして、具体的な課題の把握に努めていきたいというふうに考えているところでございます。

○又市征治君 あなた方が挙げられている民間委託であるとか指定管理者制度の問題などというのは前からやっているわけでしょう。それで、それを推奨するんですといったら、メリット、デメリットをちゃんと調べて、その上であなたやりなさいよ。こんなのを、何か中央の官僚の思い付きみたいなことをどんどんどんどん何か出したらいい、こんな格好じゃ駄目ですよ。
 行革のためにトップランナー方式を打ち出されてくると、さっきも申し上げたけれども、自治体は総務省が何か言っているから顔向けしておかにゃいかぬ、だから何か出さにゃいかぬ、こういうことになる。一方で、そういう文書が出されてくると、議会などでは、これをやれ、総務省言っているじゃないか、こういう格好になって、言ってみれば、そういう検証も何もやられないまま何か目新しいものに飛び付いていく、だけれども、それがむしろ住民の間で随分と問題が起こっている。
 私の富山県の高岡市、今衆議院議員におられますが、前の市長をやっていますが、学校給食を民間委託にずっとやっていた、だけれども、全部住民の声によって全て単独校方式にみんな切り替えた、こういう格好になっているんですよ。そういうところもあるということなんですね。私はそれが全てだと言っていません。だけれども、そういう例も、なぜそうなったかということもちゃんと調べて挙げていかないと、ただ単に総務省の皆さん方の思い付きみたいなものを振りまくのは、こんなの助言でも何でもありませんよ。ちゃんと調査して、そういうものを調べて挙げなきゃ駄目ですよ、それ。そのことを強く申し上げておきたいと思う。
 そこで、一口に歳出効率化といっても、各団体が置かれた状況は、先ほど来おっしゃっているように様々なわけで、その状況に応じた施策というのがあるんだろうと思うんですね。
 2014年に実施された地方公共団体における行政改革の取組状況に関する調査における民間委託の実施状況というのは、例えば市町村の場合、90%を超える中身もあれば、30%以下の事務事業というものもある。見直しのための年数が多い場合、5年になっていますけれども、現状において委託が30%に満たないというのはそれなりの理由があるからだと思うんですね。この30%に満たない団体を、例えばモデルの例としてそこに経費水準を合わせるとすれば、これはとんでもない乱暴な話になるということだろうと思うんですね。
 このトップランナー方式に従うならば、現在そこに働いている労働者の雇用問題にすら発展しかねない、その点をどのように考えているのか、お伺いします。


○政府参考人(安田充君) お答えいたします。
 トップランナー方式につきましては、平成28年度においては、先ほど来申し上げましておりますように、多くの団体で民間委託等の業務改革に取り組んでいる16業務につきまして、業務改革を反映した経費水準を単位費用の積算に反映するということにいたしているところでございます。
 学校用務員、学校給食などにつきましては、これは、全部民間委託又は一部民間委託、或いは一部の非常勤職員を採用していると、こういった取組を行っている学校が多数を占めているということから、その経費水準を単位費用の積算に用いているところでございます。
 また、雇用との関係でございますけれども、地方交付税は一般財源でございますので、業務をどのような手法、雇用形態で実施するかは、地方団体において地域の実情を踏まえて自主的に判断されるものと考えております。
 各地方団体におきましては、地域の実情を踏まえつつ、自主的に適正な定員管理の推進に取り組んでいただきたいと考えているところでございます。

○又市征治君 それじゃ、先ほどから申し上げたことを是非しっかりと受け止めるように努力していただきたいと思います。
 次に、遊休農地課税について伺いたいと思います。
 この20年間で耕作放棄地が約40万ヘクタールと倍増して、担い手による農地利用は全農地の5割、こういうふうに言われておりますけれども、安倍政権は一方でTPP交渉に参加し、その批准へとかじを切っておられるわけですが、多くの農家から、これは日本の農業を破壊するものだと批判の声が上がっております。これは、これから後半国会の中で大変論議になっていくんだろうと思います。
 それはともかくとして、この遊休農地が増大をしており、それを抑制あるいは減らすために農地中間管理機構、農地バンクが設立されたと理解いたしますけれども、しかし、この農地バンクに土地が集積されないということで今回の遊休農地課税の強化が打ち出されたのかなと、こんなふうに思いますけれども、なぜこの遊休農地が増大をしているとお考えなのか、農水省ですか、考え方をお聞きいたしたいと思います。

○大臣政務官(佐藤英道君) 市町村による客観ベースの調査によりますと、荒廃農地面積、いわゆる現に耕作に供されておらず、耕作の放棄により荒廃し、通常の農作業では作物の栽培が客観的に不可能となっている農地でございますけれども、これは近年、約28万ヘクタールでほぼ横ばいで推移しているところでありますけれども、今委員から御指摘のあったいわゆる農家の方々が主観により判断される耕作放棄地は、平成十七年から平成27年の10年間で約38.6万ヘクタールから約42.4万ヘクタールとなり、約3.8万ヘクタールが増加したところでございます。いずれにいたしましても、相当な面積の遊休農地が発生していることは事実でございます。
 こうした遊休農地が発生する主な理由として、農業者の高齢化の進展によりまして農地の適正な管理が困難になってきていることに加えまして、リタイアする方々の農地の担い手への円滑な集積が進んでいないこと、こうしたことが要因であると考えているところでございます。

○又市征治君 そうですよね。
 だから問題は、そこのところのその原因を取り除く、言い換えれば農業を継ぐ、担うという意欲の若者をどう育てていくのかということが大きな施策として必要なんだろうと、こう思うんですね。
 そこで、今回の改正で、一方で農業委員会より農地バンクから農地中間管理権の取得に関する協議の勧告を受けた遊休農地の課税が強化され、他方で10アール未満の自作地を除いた所有する全ての農地に農地中間管理事業のための貸借権等を新たに設定して、その設定期間が10年以上であるものについては課税の軽減が行われることになる、こういうことですね。言わば、あめとむちで農地バンクの実績を上げようということのように思われます。
 そこで伺いますけれども、2014年度の年間集積目標は約15万ヘクタール、今ほどもありましたが、それに対する農地バンクの寄与度は僅か5%、こういう格好だとお聞きをしていますが、具体的に見ると、バンクは約29000ヘクタールを借り入れて約24000ヘクタールを転貸ししている状況にあるとお聞きをします。
 今回の課税強化あるいは軽減化でこれがどのぐらい進むという見積りを持っておられるのか、そしてその見積りの根拠はどこにあるのか、この点お伺いしたいと思います。

○政府参考人(山北幸泰君) ただいまの、現在の我が国の農業構造を見ますと、農業者のうち65歳以上の方々が約6割を占めているということでございますので、先ほど政務官申し上げましたように、リタイアする人の農地を担い手に円滑に集積していかなければ遊休農地が増大してしまうということでございます。
 このために、平成26年に全都道府県に農地中間管理機構を整備いたしまして、予算措置等も講じたところでございます。機構の初年度の実績、先ほど委員御指摘のとおりでございます。加えまして、26年度の担い手の農地利用面積でございますが、機構以外の分も含めまして、前年度から約6万ヘクタールを増加をしたということでございます。
 このように、機構を整備いたしましたことによりまして、近年停滞しておりました農地流動化が再び動き出したというふうに考えておりますけれども、10年間で担い手の農地利用の面積をシェアを8割にしていくということでございますので、その観点からは十分ではなかったというふうに思っているところでございます。そのためには、機構を早期に軌道に乗せていく必要があるというふうに考えているところでございます。
 初年度の実績から見まして問題点の一つは、農地の所有者が自ら耕作できない農地についてもなかなか貸付けに踏み切れないといったようなことがあるというふうに考えております。機構を設立する際に、そういうことも踏まえまして、機構を設立する際に要望いたしておりました予算措置、その予算措置に加えまして税制の措置というのも要望しておったわけでございますけれども、こういったものも具体化していきながら、農地所有者の機構への農地貸付けのインセンティブを強化していく必要があるというふうに考えたところでございます。このために、今回、予算措置に加えまして、地方税法の改正法案におきまして、委員御指摘のとおり、課税強化と軽減措置をセットで講ずることとされたところでございます。
 今回の税制による措置も活用いたしまして、機構を活用した農地の集積を進めていく必要があるというふうに考えているところでございますが、大切なことは、税を取るということよりも、地域の農業者等がよく話し合っていただいて、遊休農地を発生させたり放置したりすることなく、機構への貸付けを活用することによりまして人と農地の問題を解決していくこと、そちらにむしろ目的があるというふうに考えているところでございます。

○又市征治君 日本の農業再建のためには、基本的には農業で生活できるようにすることが必要だ、先ほども申し上げました。その一方策として、農地の集積も全く必要ないかと言えば必要もあるのかもしれませんが、それは何も土地バンクによる方法だけではないんだろうと思うんですね。
 土地の集積に貢献する道というのはいろいろ考えられるわけであって、土地バンクの有効性を高めるためにと税制を変更するのは、税の公平性、中立性に背くことになるのではないのか、こういう批判もあるわけであります。また、土地バンク経由で土地の集積がなかなか進まないのは、土地に対する所有者の思いはかなり強いと思うんですね。
 税制の改正だけで土地所有者が土地の提供に応じるかは大変疑問なわけで、その点、もう少し考え方ありましたら伺っておきたいと思います。
 また、土地の新たな集積だけではなく、現に農業を営んでいる人たちが安心して継続的に農業を営むことができる施策の充実を真剣に考えるべきだ、先ほども申し上げたところですが、この点についてももう少し補足的に御説明いただければと思います。

○政府参考人(山北幸泰君) 農家サイドの不安があるという御指摘もございました。
 農地中間管理機構につきましては公的な機関というふうになっておりまして、地代の支払というのは確実に行われる、あるいは遊休、耕作放棄地になることもないということで、出し手にとっては安心して貸すことができるスキームだというふうに考えているところでございます。
 そういう意味で、機構自体が農地の出し手に対するインセンティブになるものと考えておるところでございますが、こういった趣旨につきまして更に周知に努めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
 また、機構だけということにしたという理由でございますけれども、現状、大規模経営体という方々においても、多数の分散した圃場で耕作をされているということでございます。これが生産性を阻害要因となっているということでございますので、農地を集積するだけではなくて、まとまった形で利用いただくような形にしていくということも大事だというふうに考えているところでございます。
 機構を通じませんでもそういう集積化というのは可能だというふうに思っておりますけれども、この担い手にまとまった形でまとめていく集約化ということは、そういう相対の形では難しいというふうに考えているところでございまして、そういった観点から、今回、機構に貸す場合に限定して軽減措置を講ずるというふうにしたわけでございます。
 特に、担い手の育成支援のことも併せて御質問ございましたけれども、集積を進めるというのは、委員御指摘のとおり、その受皿となります担い手の育成というのをちゃんとしていく必要がある、全く御指摘のとおりだというふうに思っております。
 そういう意味で、現在経営改善に取り組みます認定農業者等に対しまして、融資ですとかあるいは税制、そういったものを通じまして重点的な支援をしておりますとともに、また、経営の信頼性や安定性を高める上で有効な措置として法人化を推進する、あるいは担い手が少ない地域などにおいては営農の受皿としての集落営農を進めるといったようなことを併せて講じているところでございます。

○又市征治君 時間来ましたので終わります。