第190回通常国会

2016年3月23日 総務委員会



■一般質疑
@総務省は、2013年、情報通信審議会に、郵政事業のユニバーサルサービスの確保と郵便・信書便市場の活性化方策の在り方について諮問をしたが、このテーマで諮問された意味、問題意識は何か。
A答申は多くの問題を提起はしているが、具体的な方向性を提起していない。この点、総務省はどのように受け止めているのか。
Bコストの高低にかかわらずユニバーサルサービスは維持をされなきゃならない。その負担は当然日本郵政グループと政府が負うべきだが、この点に変更はないか。
Cユニバーサルサービスを維持する政府の決意は当然必要だが、政府はこの答申を踏まえて、今後、ユニバーサルサービス維持のためにどのような方向性で論議を進めるのか。
D株式上場、株式売却のユニバーサルサービスへの影響を、現在の時点で政府はどのような評価、分析をしているのか。


○又市征治君 社民党の又市です。
 先ほど、柘植委員あるいは片山委員からもお話がちょっとありました郵政事業のユニバーサルサービスの問題について、今日は伺っていきたいと思います。
 総務省は、2013年、情報通信審議会に、郵政事業のユニバーサルサービスの確保と郵便・信書便市場の活性化方策の在り方について諮問いたしました。審議会は、2014年3月に中間答申、また同年12月にも第2次中間答申を出されたわけですが、これらを踏まえて、総務省は昨年の通常国会に郵便法、信書便法の一部改正案を提出し、信書便役務に関する規制緩和を実施することになりました。
 この法案の審議の際にも述べたんですが、諮問したうちの一部分だけテーマを取り上げて法案化するのはちょっと問題ではないのかと前回申し上げましたが、それはそれとして、昨年9月に最終答申が出たわけですけれども、改めて伺いますが、審議会にこのテーマで諮問された意味、問題意識、この点についてまず初めに伺います。

○政府参考人(武田博之君) お答えいたします。
 審議会に諮問した問題意識、背景、主に二つでございます。一つは、郵政事業を取り巻く環境の変化ということでございまして、御案内のとおり、平成24年、郵政民営化法改正によりまして、日本郵政株式会社、そして日本郵便株式会社に、郵便に加えまして金融の基本的サービス、これを郵便局で一体的に提供する責務、郵政事業のユニバーサルサービスの提供責務が課せられたわけでございます。そういった一方で、インターネットの普及によりまして郵便物の減少など、郵政事業を取り巻く環境は厳しさを増しておりまして、将来にわたり郵政事業のユニバーサルサービスの提供責務の履行を確保するための方策の検討を進めることが必要という判断が一つございました。
 二つ目が信書便事業に関する規制改革実施計画でございます。これは平成25年6月の閣議決定ございまして、信書便事業に関しましては、一般信書便事業の参入要件の明確化、そして特定信書便の業務範囲の在り方について検討を進める必要があるということでございます。
 このような二点を踏まえまして、諮問に至ったということでございます。

○又市征治君 答申では、ユニバーサルサービスコストの算定について述べて、導き出された試算の結果として、郵便役務は約8割の赤字の集配郵便局エリアのコストを約2割の黒字の集配郵便局エリアの利益で賄っており、郵便局窓口業務は約4割の赤字の集配郵便局エリアのコストを約6割の黒字の集配郵便局エリアの利益で賄っている、こんなふうに述べているわけですね。
 答申では、コストの分析結果を踏まえて、答申の第2節の3、中長期的な検討すべき確保方策の方向性では、郵便サービスレベルの在り方と料金の設定、政策的な低廉料金のサービスに対するコスト負担の在り方、郵便局ネットワーク維持に係るコスト負担の在り方について述べています。しかし、答申は多くの問題を提起はしていますけれども、具体的な方向性を提起しているわけではないように思いますけれども、この点、総務省はどのように受け止めているのか、これがまず一点。
 いずれにしても、コストが高かろうと低かろうとユニバーサルサービスは維持をされなきゃならぬわけでありまして、その負担は当然日本郵政グループと政府が負わなきゃならぬということについて、この点は変更は当然ないだろうと思いますが、その点も確認しておきたいと思います。

○政府参考人(武田博之君) 今御指摘の点、少し説明させていただきますと、答申によりますと、郵便のユニバーサルサービスコストは1873億円、銀行窓口は575億円、保険窓口は183億円ということでございますが、収支は郵便役務、金融窓口業務とも黒字であったということでございまして、答申では中長期的な課題ということで示されていますけれども、現状、ユニバーサルサービスにつきましては、日本郵政、日本郵便の経営努力により水準が確保されている、全体として黒字になっているということで、引き続き日本郵便に対する更なる経営努力を求めているということでございます。
 したがって、総務省といたしましては、郵政事業のユニバーサルサービスにつきましては法律で規定されているとおりでございまして、日本郵政、日本郵便がその提供責務を負っているということで、総務省といたしましては、今後とも、法律に基づきまして日本郵政、日本郵便への監督などを通じましてユニバーサルサービスの確保に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

○又市征治君 受益者負担を口実にしてユニバーサルサービスの維持のために料金を安易に上げるとか、そんなことは国民の理解が得られるわけじゃありません。また、今のところそんなことを考えているわけでもないと思う。もちろん、郵政グループの負担だけで維持することもやっぱり不可能だと思うんですね。
 その意味で、郵政グループがその活動範囲を広げていくことも不可欠でありますし、先ほども出ましたが、昨日の閣議で、政令改正をして4月からゆうちょ銀行の預入限度額あるいはまたかんぽ生命の限度額についても引き上げるということにされたこの施策、片山さんじゃないけれども、私も、遅過ぎる、もっと前からこれは上げるべきだということを申し上げてまいりました。そういう意味においては、これは歓迎したいと思います。
 そこで、このユニバーサルサービスを維持する政府の決意は当然必要なわけですが、政府はこの答申を踏まえて、今後、ユニバーサルサービス維持のためにどのような方向性で論議を進めようとしているのか、この点をまず伺っておきます。
 また、答申では、株式上場、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の株式の売却処分が金融のユニバーサルサービスの提供を含む郵便局ネットワークへの影響を注視する必要があると述べていますけれども、現在の時点で政府はその点、どのような評価、分析をしているのか、その点を。
 この二点、お伺いしたいと思います。

○国務大臣(高市早苗君) 先ほど委員も触れていただきましたが、昨年9月の情報通信審議会答申において、郵便サービスレベル及びコスト負担の在り方、金融2社の株式売却が進む中での郵便局ネットワークへの影響などが中長期的な課題として示されています。
 法律によって日本郵便、日本郵政にサービス提供の責務が課されているこのユニバーサルサービスにつきましては、収支は郵便役務、金融窓口業務とも黒字であり、総務省としては、郵政事業のユニバーサルサービスは現状では適切に提供されていると認識しています。
 総務省としましては、将来にわたってもユニバーサルサービスが安定的に確保されるために、引き続き日本郵政及び日本郵便の取組状況や経営状況を注視しまして、ユニバーサルサービスが確保されているかの確認を行い、しっかりと監督をしてまいります。
 今後、その状況を踏まえまして、答申で指摘されている中長期的な課題も含めて検討を進めてまいります。現在、武田部長の下でこの検討に向けた準備を行っております。

○又市征治君 高齢化が進行して、地域によっては過疎化が進む中で、郵便、金融ユニバーサルサービスがとりわけお年寄りの生命線、こう言えるような状況も生まれてきている。だからこそ、このユニバーサルサービスの維持を法的にも義務化するということであったかと思うんです。そういう意味では、大きなコスト的にも負担があることは理解いたしますけれども、先ほども申し上げましたが、そうであったとしてもこのユニバーサルサービスそのものは何としても維持をされなきゃならぬということだろうと思うんです。
 そのために、総務省が日本郵政グループとともに、料金の値上げとか或いは郵便局の統廃合といった安易な道を選択するのではなくて、正面から、先ほど申し上げたような、限度額の引上げなど、郵政3事業が一体でやられて、そこから生まれてくる利益を国民に還元する、こういう立場からユニバーサルサービスをしっかりと維持いただく、このことのための努力を強く要求をして、今日の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。