第190回通常国会

2016年4月13日 政府開発援助等に関する特別委員会



■政府開発援助等に関する調査のうち、G7伊勢志摩サミットにおいて取り組むべき開発協力の課題及び我が国に期待される役割に関する参考人質疑
参考人
*一般財団法人CSOネットワーク代表理事・特定非営利活動法人日本NPOセンター常務理事・「動く→動かす」  代表今田克司君
*公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンアドボカシー・スペシャリスト 大野容子君
名古屋大学大学院国際開発研究科教授  山田肖子君

@2030アジェンダでは平等の拡大等、先進国も対象となっているが、この実現過程は途上国とは異なると思うが、その点ついての見解は。
A開発目標にとっては実施体制とモニタリングの構築が重要だが、どのようにやっていくべきか。
Bなぜ市民団体が開発資金の財源について、議論するようになったのか。
C国際会議での議論、市民団体の運動が、政府にどの程度影響を与えているか、感想は。
Dアフリカへの支援に関し、日本と中国の違いはどこにあるのか。日本はどこに重点を置くべきと考えているのか。


○又市征治君 社民党の又市です。
 御三方の貴重な御意見、ありがとうございました。
 まず初めに、今田さんに二点お伺いしたいと思います。
 持続可能な開発のための2030アジェンダでは、途上国だけではなく先進国もその対象になっているというようなことですね。例えば税制、賃金、社会保障政策を始めとする政策を導入し、平等の拡大を漸進的に達成するということが目標の一つ下のレベルのターゲットとして位置付けられているというふうに、今田さん、御紹介をされております。
 これは先進国の実態を反映したものじゃないかなと思うんですが、先進国のこのターゲットをどう実現するかというのは途上国の課題をどう解決するかとは異なった道筋ではないかというふうに思うんですが、この点、御意見をお伺いしたいというのが一点目です。
 二点目は、この持続可能な開発目標にとって重要なのは実施体制とモニタリングということでおっしゃっているわけですけれども、私もそのとおりだとは思います。どんなに現状にマッチした目標であったとしても、実現されることなく、その成否がモニタリングをされなきゃ意味がない、こう思うんですが、しかし、言うはやすく行うは難しで、どのようにして構築していくべきだというふうに今田さんはお考えなのか、この点、二点目にお伺いします。

○参考人(今田克司君) 御質問ありがとうございます。
 特に日本含め先進国にとっては、国内的な課題をどういうふうにSDGsに沿ってモニターしていくかということと、海外援助のものをどういうふうにモニターしていくか、これはこれまでは別個のものとして存在しております。例えばODAに関しては、そのODA評価という一つの手法というかやり方というのが半ば確立しているものもあります。
 ですので、おっしゃるとおり、これをやはり違う形で適用していくことは必要だろうということは意識としてありますけれども、ただ、原理原則として、これが非常に根っこのところでつながっていて、これを同じ問題の違う表出であるということで捉えようということでモニターをしていくということになるのがこのSDGsの精神にのっとっているのではないかなというふうに思います。ですので、実際これを運用していくにおいては、かなりそこは今までのやり方を踏襲する形で、海外と国内ということで異なったやり方が必要になってくるというふうに考えます。
 二つ目の御質問、実施体制とモニタリング。おっしゃるとおりです。非常にこれだけ広範かつ複雑なものを実際どういうふうにモニタリングしていくのか。ここでもやはり市民社会の力というのは使えるというふうに考えております。
 先ほどの回答でもデータ革命ということを申し上げましたけれども、やはり今非常にデータというものが安価に市民発という形で入手可能な時代になっております。これをいかに加工して、うまく、自分たちがこれについてはどうしてもモニターしていきたいんだということで、市民発でそれをモニタリングしていくというような発想で試みは始まっておりますので、そういったものを集約するグローバルな機関というのも今できつつあります。ですので、市民社会はもちろん企業も含めて、特にIT企業はこういったことに興味を持っていますので、そういった多種多様なモニタリングの形というのはこれから実現していくのではないかなというふうに考えております。

○又市征治君 ありがとうございました。
 次に、大野さんにお伺いをいたしますけれども、事前に第26回国際開発学会全国大会における開発資金についての講義録、大変興味深く読ませていただきました。
 この最初に市民社会というふうにおっしゃっていますが、皆さんおっしゃるのは市民団体というふうに言い換えてもいいかなと思いますが、これが開発資金について論議を行うようになった経緯について教えていただきたいと思うんですが。というのは、これまで市民運動が要求を形にすることはあったけれども、そのための資金について見解を持つということは少なかったのではないかなと思うんですが、そのように開発資金についてなぜ言及されるようになってきたのか。当たり前のことだと言われれば当たり前なのかもしれませんが。
 そこで、この開発資金については、結局のところ、先進国についても途上国についても、言い方は良くないかもしれませんが、政府のさじ加減に負うところが非常に大きいというふうに思うんですけれども、国際会議での協議、議論、あるいは市民社会の運動が政府にどの程度の影響を与えることができるのか、現場で奮闘されているその目線から感想をお聞きしたいんですが、例えば、先ほども今田さんの御報告にODAはGNI比で0.2%程度、世界の第5位、これ0.7に持っていかにゃいかぬという目標があるということなんだけれども、そういうことに対して、そうさせるためにどういう努力をするか。我々は、日本のODAなんというのはどんどん下がって半分ぐらいになってしまっている、もっとしっかりと増やすべきだということは主張してまいりましたけれども、ここのところをそういうふうに持っていくためにどういうふうにやるべきだというふうにお考えなのか、お聞きをしたいと思います。

○参考人(大野容子君) どうも、的確な御質問、答えるのが難しい御質問をありがとうございました。とても難しい問題です。日々頭を悩ませております。
 市民団体、市民社会がなぜ開発資金にということなんですけれども、その後の質問と続くんですが、やはりODAだけでは足りないという、問題がこれだけ複雑化して、気候変動の問題も入ってきて、やはり何かを行うための資金というのはODAだけでは足りないと同時に、ODAはどうあるべきか、それプラスどこに資金を持ってくるのか、そうじゃないと私たちが目指そうとしているものがなかなか実現できない、やはりそこの問題意識から、市民社会が資金の問題に関わるようになっている背景にあると思います。
 やはり何かを成し遂げるときに資金がどうしても足りない。今回のSDGも、SDGは目標なんですけれども、その続きにミーンズ・オブ・インプリメンテーション、実施手段という項目があります。やはりそこがきっちりしないと、目標ばかり高く設定してもなかなかうまくいかない。市民社会としては、目標の設定、より良い目標の設定を実現するために一生懸命頑張ると同時に、その目標を実現するための実施手段、つまり資金とかですね、資金も含む実施手段もきっちり確保していかねばならないというやっぱり強い問題意識がありまして、市民社会の方も資金の問題というものに深く関わるようになってきているのかなと思っております。
 二点目に関しましては、やはりその0.7%というものがなかなか達成されない。一つは、市民社会側も、ODAというものが例えば非常に途上国の生活に関わりがある必要なものなんだよということをやっぱり一般の人々に広く知らしめる努力を市民社会としてもしなければならないということと、やはりテロの問題や気候変動の問題というものを、それが遠い対岸のことではなくて、日本の私たちの暮らしにも関わっているし跳ね返ってくるんですよと。だから、ODAを単に慈善のようにやるのではなくて、私たちの生活に関わってくることですよ、プラス私たちの責務でもありますというところをやはり広く伝えていく、そこの、その分かりやすい言葉で伝えていくということがまず必要なのかなというふうに考えております。
 それ以外に、やはり私どももそうですけれども、是非、引き続き国会議員の方々にも頑張っていただきたいとお願いをしつつ、終わらせていただきます。

○又市征治君 どうもありがとうございました。
 我々は、日本の企業が、私なんかは政府がどんどんどんどん法人税減税なんかやって、それで、何のことはない、内部留保ばっかりたまって350兆円以上もたまっている、こういうものをちゃんと生かす努力を、税の立場からも、あるいはこういう援助の立場からも生かすべきだという主張をしているわけですが、そんな努力は更にしていきたいと、こう思います。
 最後に山田先生にお伺いをいたしますが、ちょっと誤解を生じるかもしれませんが、中国がアフリカへの投資というのは、基本的には何か原材料、鉱物資源の輸入を主目的みたいな感じがするわけです。先生の方から、先ほどは、やはり人づくり、あるいは技術移転も含めて生産性の向上、自立性というか、そういうものを育てていくべきだというお話がありました。そういう点で、研究なさっている立場からいって、日本とこの中国とのありよう、とりわけ日本が今後こういうところに力を入れたらもっといいという点がありましたら、お伺いしたいと思います。

○参考人(山田肖子君) 又市議員、貴重な御意見ありがとうございます。
 中国は、工場はたくさん造っているんです、現地に、その生産拠点という意味では現地化非常にしているんですけれども、中国の一つの特徴は、大勢の労働者を中国から連れていっているということでして、現地で生産しているけどかなりの部分は中国人が生産していると、そういうところが特徴であります。まあ中国国内の失業対策の部分もあるかと思うんですけれども。
 日本の場合は、アフリカでの日本の存在というのは、外交官か商社の人か援助関係か学者かといった、どっちかというと高学歴の人たちしか来ないというようなところなんですけれども、そういう意味で、日本はそもそも人を輸出するモチベーションはないですので、やはり中国は、現地生産しながら中国製品を安く生産して、アフリカの市場を席巻してしまっているんですね。元々アフリカンプリントと言われたアフリカの模様の織物ですら中国製になっているような、もうアフリカの生産拠点を壊滅させてしまったと言われているんですね。
 ですので、日本が入る強みとしましては、現地の持っている技術を生かしながら、現地の人材を生かしながら、ちょっと新しい技術、新しい視点、新しい生産の方法を加えることによって、日本に対するベネフィットも得つつ現地の産業を育てるという発想で関わることじゃないかなというふうに思います。

○又市征治君 ありがとうございました。終わります。