第190回通常国会

2016年5月19日 総務委員会



■行政機関等の保有する個人情報の適正かつ効果的な活用による新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するための関係法律の整備に関する法律案
@個人情報の有効活用が、産業創出や活力ある経済社会や豊かな国民生活の実現に資するといった考え方・認識は、この間の日本経済の流れの中では破綻しているのではないか。大臣の認識は。
A日弁連は意見書において、「商業目的での第三者提供は、パーソナルデータの持ち主本人の認識している本来のデータの利用目的以外での利用を意味する。特に、公権力の行使によって収集されたパーソナルデータに関して無差別な商業目的での利用を許すことについて、国民の理解が得られるとは考え難い。」と述べている。この点について大臣の見解は。
B本法案では、行政機関非識別加工情報取扱事業者になろうとする者は、情報利用の目的及び方法等を提供することになっているが、総務省はどのような提供内容と、量的にどの程度を想定しているのか。この提供内容の審査に関しては、当然、本法案の目的、個人情報の有用活用が産業創出、活力ある経済社会や豊かな国民生活の実現に資するかどうかが問われるわけだが、具体的な審査基準はどういうものか。
C情報が行政機関等から外部に出されることによって生じる漏えいリスクの増大、国民各々は知ることのできない目的のために情報が利用されることによって、行政機関等への情報提供ついて戸惑いを覚えるのではないか。この点についての認識は。
D衆議院の委員会質疑において上村局長は、匿名加工情報は他の情報と照合して識別ができないように加工するが、現在の情報処理技術の進展等を考えると、復元ないし照合が不可能であるとまでは言い切れない旨の答弁をされた。この認識は、現在の段階では復元ないし照合は不可能だけれども将来的には可能性もある、あるいは現在でも復元、照合は可能かもしれないという認識なのか。またいずれにしても、今回の法案によって以前に比較すると個人情報が漏えいするリスクは増大するという認識なのか。
E行政機関は、国民の信条を収集することができるのかどうか。できるとすれば、その目的は一体何なのか。そしてどのような手段、方法で国民の信条の収集はできることになるのか。
FEU諸国では、行政機関が個人情報を加工するなどを行って民間事業者に提供することは、どのような枠組みにおいて行われているのか、そもそも、ビジネスのために行政機関が民間事業者に個人情報を加工すれば、提供することは認められているのか。
G本法案では、改正個人情報保護法に規定する個人情報保護委員会による違反行為の中止、あるいはその他違反を是正するために必要な措置をとること、いわゆる措置命令などが規定されていないが、その理由は何か。これでEUの十分性認定を得ることができるのか。


○又市征治君 社民党の又市です。
 今日は吉良委員の御厚意によりまして質問の順序を入れ替えさせていただきました。感謝を申し上げたいと思います。
 なお、この種法案、どうしても論点がみんな集中をいたしますから、私もどうしてもダブらざるを得ない面があるわけですが、再確認の意味を含めて質問をしてまいりたいと思います。
 まず、12日の参考人質疑に続いて本案について政府の見解を伺うわけですが、大臣は法案の趣旨説明において、個人情報の有効活用が産業創出、活力ある経済社会や豊かな国民生活の実現に資するとの前提に立ち、個人の権利利益の保護や行政機関等の活動に支障がない範囲内で行政機関等が所有する個人情報を加工して事業用に提供する、このように述べられたわけです。
 この間、政府は、企業が利益を上げればそれが勤労者の所得増大につながる、こういうふうに主張される、いわゆるトリクルダウン理論、こういうふうに言われてきて、日本を世界で一番企業が活躍しやすい国にしよう、こういうふうに言ってきたわけですが、しかし、企業は今最高の利益を上げているにもかかわらず、例えば今年の春闘の賃上げ状況、昨年の半分以下、こんな格好に見られるように、必ずしもそうなっていない。いわゆる今のこの法案に絡めて申し上げるならば、個人情報の有効活用が産業創出や活力ある経済社会や豊かな国民生活の実現に資するという、こうした考え方、認識というのは、私は、この間の日本経済の流れの中では破綻しているのではないか、こう思う。ここのところについて、改めて大臣の認識をお伺いしておきたいと思います。

○国務大臣(高市早苗君) 近年の情報通信技術の進展によりまして、いわゆるビッグデータの収集、分析が可能となる中で、特に利用価値が高いとされるパーソナルデータの利活用を適正かつ効果的に進めていくということは官民を通じた重要な課題だと考えております。
 新たな仕組みにおける非識別加工情報についての民間事業者の提案におきましては、提案に係る事業が新たな産業の創出、活力ある経済社会や豊かな国民生活の実現に資するものであることを求めております。これは単に一企業の利益のために提供するということではなくて、民間事業者における有効活用を通じて、ひいてはその利益が国民全体に還元させることになるという考え方に立ってそう規定をしている、そういうものでございます。
 幅広い民間事業者の新たな仕組みが利用されて制度改正の趣旨が実現されるように、しっかりと周知をしてまいりますし、的確な運用を期してまいりたいと思っております。
 なお、賃上げにつきましては、安倍総理の方からも幾度となく経済界に対して要請ということを行っていると承知をしております。

○又市征治君 相変わらず、新たな産業を創出、活力ある経済が国民生活を豊かにすると。日本経済の現状は必ずしもそうなっていない、そういう面もしっかりと見ていただきたいということだけ申し上げておきたいと思うんです。
 そこで、先日の参考人質疑において山本参考人は、本人の了解なしに収集される場合もあるこの行政機関が所有する個人情報がビジネスのために利用されるというのも理解されにくいのではないかという私の質問に対して、個人情報保護法制だけで解決できる問題ではなく、今回の法案でそれに対する対策が書いてあるとは思えない、個人情報が価値を生む、価値を生んだときに、その価値の帰属がどうなるのかという問題はまだ全く解決されていないということを述べられております。
 先ほども少し触れましたが、企業が伸びれば、イノベーションが進めば国民生活が豊かになるというのは実は極めて抽象論、いろんな見方があります。個人情報が価値を生む、その価値の帰属が企業であるというのであっては国民の理解が得られないのではないのかということがまず基本的にあると思うんです。
 日弁連も意見書において、「商業目的での第三者提供は、パーソナルデータの持ち主本人の認識している本来のデータの利用目的以外での利用を意味する。特に、公権力の行使によって収集されたパーソナルデータに関して無差別な商業目的での利用を許すことについて、国民の理解が得られるとは考え難い。」、こういうふうに日弁連述べているわけですけれども、この点について大臣の見解を伺います。

○国務大臣(高市早苗君) イノベーションということですけれども、イノベーションというのは、単なる技術革新ではなくて、技術革新の成果がまた国民生活に恩恵をもたらしていく、そこまでのプロセス全体を指すものだと考えております。
 今回、この法案でございますけれども、パーソナルデータの利活用を適正かつ効果的に進めていくということで、新たな産業の創出や活力ある経済社会、豊かな国民生活の実現を図るものでございますから、あくまでも個々の企業の利益のみならず国民全体の利益につながる取組だと考えています。
 例えば、先日の参考人質疑におきましても、二輪自動車の検査ファイルを利用して製品の安全性を向上させることが想定されるといった参考人の御意見もありましたし、このようなケースでは国民の皆様にも安全、安心というメリットがもたらされると考えています。
 やはり制度改正の趣旨について十分に民間事業者の方にも周知をすることに努めまして、的確な運用を期してまいります。

○又市征治君 現行法でも、統計の作成であるとかあるいは学術研究の目的のため、又は本人以外の者に提供することが明らかに本人の利益になるときは提供が認められている、そういう法体系になっていると思うんです。つまり、今回の改正というのは、本人の利益になるかどうか全く分からない、提供の公共性も不明なのではないのかということは指摘をしておきたいと思うんです。
 次に、行政機関等が保有するパーソナルデータに関する研究会、これは総務省の内部の研究会でしょうが、行政機関個人情報保護法、独法等個人情報保護法の改正に向けた考え方を取りまとめていますけれども、その中で行政機関等が保有するパーソナルデータの利活用のニーズに触れて、一般的な利活用への期待が存在しているとしながらも、医療分野の情報以外には具体的な利活用のニーズは特定できなかった、このように述べているわけですね。
 そこで伺うんですが、本法案では、行政機関非識別加工情報取扱事業者になろうとする者は情報利用の目的及び方法等を提供することになっていますけれども、総務省はどのような提供内容と、量的にどの程度を想定しているのか、まずこれは第一点伺いましょう。
 また、この提供内容の審査に関しては、当然、先ほど言及しました本法案の目的、個人情報の有用活用が産業創出、活力ある経済社会や豊かな国民生活の実現に資するかどうかが問われるわけでありますから、この法案の目的自体が実に漠としたものであって、曖昧、こう言わざるを得ないわけで、そこで、具体的な審査基準、これはどういうものを考えておるのか、お示しをいただきたいと思います。

○政府参考人(上村進君) お答えをいたします。
 まず、御提案の行政機関非識別加工情報の提供制度でございますが、この法案によって初めて設けるものでございますために、具体的にどのような提案がこれから出てくるか、それから、どれほどの数になるかということにつきましては、現段階ではなかなか確定的に述べることが困難な面があるということはまず御理解をいただきたいと思います。
 その上で、委員からも今御指摘いただきましたような研究会、それから経済団体等からは一般的なニーズがございます。それから、今し方大臣からも御答弁申し上げましたような、参考人質疑の中において述べられました二輪自動車の検査ファイルを活用してより安全な製品を作るというニーズ、それからまた、これも参考人質疑にございましたけれども、外国人出入国記録ファイルを利用いたしまして観光振興に利用する、こうしたものは提案がなされてくるようなものではないかと思ってございます。
 これをどういうふうに審査するかということでございますが、法案上は確かに非常に、厳密なものは書いていないわけでございますが、ただ、これがどのようにこの提案内容が新たな産業の創出とか国民生活の豊かさにつながるか、それは事業計画書などを添付いただくことになっております。これをできるだけ具体的な説明をいただきまして、そのメリットをきちんと見極めていくということになると思います。
 いずれにいたしましても、まだ審査基準は、この法案の成立をいただきましたら、どのような審査の方法があるかも踏まえまして、基本的な考え方を含め、まとめていくということにしておりますので、これはいずれ指針なりガイドラインの形で作成していくということになると思っております。
 以上でございます。

○又市征治君 つまり、どういう提案がどの程度提出されるか予想が付かない。たまたまこの間の参考人質疑のときも出ましたけれども、医療関係は当然のこととして大事でしょうと、こういう話。まあ、医療や介護まで入りますかね。あるいは、今あったように観光という問題などがあるかもしれない。だけど、それ以外は予想も付かない。こういう状態の中で、それならばそれで個別法でやってもいいんではないのか。言い換えるならば、具体的な要望すら産業界から出されていないときになぜわざわざこのような改正を拙速に行うのかというのは、これは理解し難い、国民の側でも理解できない、こういう声が強いのではないのか、こう言わざるを得ないわけでありまして、その点は改めて申し上げておきたい、こう思うんです。
 次に、行政機関等は必ずしも個人の同意を得て個人情報を収集するわけではないことはもう言うまでもありません。また、同意するにしても、それは個人情報の取扱いに対する行政機関等への暗黙の信頼があるということだと思うんですね。行政機関が収集できる個人情報というのは、質、量共に民間事業者が収集するものとはもう雲泥の差がある、これはもう言うまでもありません。しかし、法案によれば、個人情報は非識別加工されて非識別加工情報として民間事業者にビジネス目的で提供する、こういうことになるわけですね。つまり、情報が外部に出されていくというわけです。
 この情報が行政機関等から外部に出されることによって生じる漏えいリスクの増大、国民各々は知ることのできない目的のための情報の利用ということによって、国民が行政機関等への情報の提供、提出というか提供ということについてまさに戸惑いを覚えるんではないのか、ここのところについてはどういう認識ですか。

○国務大臣(高市早苗君) この非識別加工情報ですが、個人情報保護委員会規則で定める基準に従って個人情報を適切に加工するということによって特定の個人を識別できないものとなりまして、安全な形で民間事業者に提供されるものです。また、非識別加工情報の提供を受けた民間事業者が加工の方法などを入手して当該情報を他の情報と照合することを法律上禁じているほか、個人情報保護委員会が官民を通じて監督するということとするなど、個人の権利利益の保護に支障が生じないような仕組みとしております。
 やはり、委員が御指摘いただいたように、それぞれの皆様が、こういうことだったら行政機関に情報を提供できないよねというようなことになってしまっては困りますので、あくまでも個人の権利利益の保護を大前提として利活用の促進を図るものであるということを、皆様に対して新制度の趣旨、内容を十分に周知をするということで御指摘のような事態が生じないように努めてまいります。

○又市征治君 大臣から、リスクが低くなる、低くするようにしなきゃならぬということのお話なんだと思うんですが、少し具体的にこの問題について上村行政管理局長に伺いますが、衆議院の委員会質疑において局長は、匿名加工情報は他の情報と照合して識別ができないように加工するが、現在の情報処理技術の進展等を考えると、復元ないし照合が不可能であるとまでは言い切れないというか、言えない、こういう旨の答弁をされたように思います。
 そこで聞きますけれども、この認識は、現在の段階では復元ないし照合は不可能だけれども将来的には可能性もある、あるいは現在でも復元、照合は可能かもしれないという認識なのか。いずれにしても、今回の法案によって以前に比較すると個人情報が漏えいするリスクは増大するという、このことについての認識も併せて伺いたいと思うんです。

○政府参考人(上村進君) お答え申し上げます。
 衆議院の総務委員会でお答えいたしましたのは、現在の、あるいは今後のでもよろしいのですが、情報処理技術がどんどん進展してまいりますので、そうした場合に、そういうものを考えますと、どんな手段を用いても全くこれが復元ないし照合が不可能であるということは特に言えない、特に将来にわたって不可能であるとは言えないということをお答えしたつもりでございます。
 そういう意味におきましては、非識別加工情報は、現在及び将来において通常想定し得る手段、方法によっては特定の個人は識別できない、元になった個人情報を復元することができない程度にまで加工する、しっかり加工すると。言い換えますと、安全な情報とするということが大前提になっております。
 それに加えまして、制度的な担保といたしまして、これは午前中の質疑でもお答えいたしましたけれども、個人情報保護法の規定で、識別行為の禁止でありますとか個人情報保護委員会の監視、それから最終的には罰則を科すというところまで担保していることでございますので、個人の権利利益の保護につきましては万全を期しているというふうに考えているところでございます。

○又市征治君 つまり、従来行政機関内にとどまっていたデータが外部に出るわけですから、リスクは当然高まるということだということですね。だから、識別行為の禁止等の規定が改正個人情報保護法にあるというのも、識別が可能だから、そういうふうに考えるのは当然だと思うので、やはり率直にリスクが高まるということを認識した上での対処ということがいやが応でも求められる、これ、局長言ったことはそういう意味でよろしいですか。

○政府参考人(上村進君) 繰り返しになりますけれども、通常の方法、手段ではもうこれは復元できない安全なものである、しかし全く100%かということは言い切れない、そこは念には念を入れて制度的な担保として識別行為の禁止その他を入れていると、こういうことでございます。

○又市征治君 リスクは高まるということを前提にしてということですね。
 そこで、今回の法案において、要配慮個人情報とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴等々、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報と定義をされているわけですが、そこで伺いますけれども、行政機関には、ここで、この中で言っているところの国民の信条を収集することができるのかどうか、できるとすればその目的は一体何なのか、そしてどのような手段、方法でそうした国民の信条の収集はできることになるのか、この点について伺います。

○政府参考人(上村進君) まず、一般論でございますけれども、行政機関等においては、従来より、所掌事務を遂行するために要配慮個人情報に当たるような機微な情報というのは収集する必要があるというふうに考えてございます。一般的には、犯罪予防のために例えば被害情報を収集するというケース、それから公衆衛生政策ですとか疾病予防等のために病歴情報を収集するケースなどがこれに当たってくると思います。
 その利用目的、収集手段というのは様々でございまして、許認可、それから補助金の申請、それからいろいろな入所等に当たってこういうものを収集するとか、それから行政施策の遂行上の調査ですとか、そういうのに当たって調べる等いろいろな態様はあると思います。
 委員御指摘の信条というのは、思想と信仰両方含むものだと思いますけれども、これもそれぞれの行政機関の行政目的に応じまして必要な限度で収集されることは当然あり得るものだろうと思っております。

○又市征治君 大変重大な問題なわけで、国民の信条を収集する、しかも、国家がそれを本人の知らないところで行うことがとても適切だとは思えません。適切だと言うなら、どういう信条なら収集するのか、どういう信条なら問題がないということが明らかにされて、そういう意味で国民の納得がなければ、これはそんなことをやれる話じゃない、まさに憲法違反になるわけで、その基準が適正かも検討される必要がある。今日はこのことを論議する場でもありませんから、取りあえず、極めてこれ重大な問題をはらんでいるということだけはここでは指摘しておきたい、このように思います。
 次に、2013年6月に閣議決定された日本再興戦略では、ITを利用したイノベーションを起こすとして、2015年度中に世界最高水準の公共データの公開内容、これ何かデータセット1万以上というように言うようですが、これを実現、あるいは、ビッグデータやオープンデータの利活用が世界最高水準で実現するよう積極的に進めるとあるわけです。
 当然、世界的にも、本法案のような法がEU諸国にも存在するんだろうという思いで総務省にも問合せを出しましたが、どうも存在をしていないようでありまして、その後何かありましたらこれはお答えいただきたいということがありますけれども。
 その上でお尋ねをしますが、EU諸国では、行政機関が個人情報を加工するなどを行って民間事業者に提供するということはどのような枠組みにおいて行われているのか、そもそも、ビジネスのために行政機関が民間事業者に個人情報を加工すれば提供するということは認められているのかどうか、その点を含めてお答えをいただきたいと思います。

○政府参考人(上村進君) お答えいたします。
 まず、EUにおきましては、データ主体が識別できないような方法で匿名化する、これは私どもの御提案をしている非識別加工も同じようなことでございますけれども、個人とひも付く可能性のない匿名データ、そういう定義というのは制度的にはございます。ただ、こういうものに関しましては、いわゆるいろいろな各種規則、指令等で定めているデータ保護の原則、規律というものは適用されないと。逆に言えば、自由に使うことができるということだと思っております。
 具体的に少し、ビジネス利用にどういうふうに使われているかというのは、恐縮でございますが、ただいま私、手元に資料がございませんので、ちょっとお答えしかねるところでございますが、しからば、我が国においてはどういうことを考えているかということでございますが、我が国におきましても、この個人識別性がない匿名となっているデータというのは、やはりEUと同様に本来個人情報に該当しないものですから、自由に提供することができるものであります。ただ、いろいろな経緯がございまして、これまでその利活用のルールが明確でない、グレーゾーンがあるということもございましたので、そうした背景を踏まえまして昨年の個人情報保護法の改正に至ったというものだというふうに理解をしております。
 今般の行政機関が保有する個人情報の保護法の改正につきましても同様の流れでございまして、昨年の改正を受けまして、国民の権利利益の保護、これを維持する、その上で民間事業者が利活用しやすい仕組みというものをつくると、このための基準ですとか安全管理の規律、これをルール化をしたというふうな形で御理解をいただければ有り難いと思っております。

○又市征治君 ちょっと聞き取れなかったんですが、EUにはこの情報提供のこういう枠組みがあるんですか。

○政府参考人(上村進君) そういう意味では自由に使えるものですので、制度としてこれを要するにルール化しているというものはないというふうに承知をしております。

○又市征治君 つまり、何もEUに倣えばいいという話ではありませんけれども、EUにも存在しないような枠組み、なぜ日本で導入するのかなというのは、これは疑念としてあるわけです。つまり、行政機関の所有する情報を民間事業に提供するというのはもう異例なことではないのかということで、その点についての考えを併せて聞いているわけです。

○政府参考人(上村進君) 先ほど来大臣も答弁を申し上げておりますけれども、基本的にこれはもう個人とひも付くことのない情報として非識別加工情報の提供を考えております。その上で、いろいろな安全措置を考えているということでございます。
 それで、先ほど来ビジネスの利用についての御質問がございますが、これは大臣もお答えをいたしましたように、単なる一企業の利益ですとか、そういったものを超えて、もう少しそのメリットが社会全体に還元される、ひいては国民生活の利便性、安全性、快適性が高まる、こういうものを考えているものでございます。したがいまして、これは昨年の個人情報保護の改正の流れの上ではございますけれども、そのような一企業の利益、そういうビジネス利用というような、大変失礼な言い方になるかもしれませんけれども、ちょっと狭い範疇のものでは必ずしもないのではないかというふうに思っております。

○又市征治君 次に、先ほどの委員の質問ともダブってまいりますが、先日の参考人質疑の際にもお尋ねした個人情報保護委員会の位置付けについてであります。
 個人情報保護法の改正に当たっては、いわゆるEU個人データ保護指令第25条の規定に基づく十分性認定を得ることが大きな課題であったというふうに宇賀参考人は論文でも書いておられますし、答弁されました。その際、一番大きな課題が、当時個人情報保護のための独立した第三者機関が設置されていなかったことだと述べているわけです。そこで改正によって民間部門の個人情報を一元的に監督する個人情報保護委員会が設置をされたということですね。
 今回の法改正においても、総務省の研究会が改正に向けた考え方をまとめていますが、それによりますと、個人情報保護委員会が行政機関の匿名加工情報の監督の任に当たることや行政機関等における匿名加工情報の取扱いに対する監督、監視についても委員会が併せて行うことが改正個人情報保護法の趣旨に一致すると、こういうふうにされています。
 しかし、本法案では、改正個人情報保護法に規定する個人情報保護委員会による違反行為の中止であるとか、あるいはその他違反を是正するために必要な措置をとること、いわゆる措置命令などが当然規定されていないわけですけれども、その理由は何なのか。これは第三者機関ということであるならば、そのことはできるんではないかと思うんですけれども、その理由をまず伺います。
 また、これでEUの十分性認定を得ることができるのかどうか。この2点、伺っておきます。


○政府参考人(上村進君) 御指摘いただきましたとおり、個人情報保護法と違いまして、民間の方の個人情報保護法は委員会による措置命令が定められているところでございますけれども、今回御提案を申し上げております行政機関個人情報保護法では命令ということまでは定めていないわけでございます。これは、権限行使の対象がこの当該委員会と同じ行政機関でありますので、命令という強制的な権限はなじまないという判断から措置していないということでございます。
 ただ、今回の改正では、従来この行政機関個人情報保護法で総務大臣が持っています権限に比べまして、実地調査という権限を導入する、あるいは法に基づく勧告という強力な権限を措置しておりまして、そういう意味では、行政機関に対する監視、監督に係る権能、権限というのは大幅に強化されたものだと考えております。
 それで、EUの十分性認定の御質問でございますが、先ほど来御答弁申し上げている点もございますが、この十分性認定の条件というのは何かというのは必ずしも現段階で明らかにはなっていないというふうに承知をしておりますが、当方の制度の説明、それからEUの方の制度の御説明もいただきながら、双方の制度の理解を得ていく中でそうしたものについてもきちんとした対応を図っていくべきものであろうというふうに思っております。

○又市征治君 行政機関が行政機関に命令をすることはなじまないというのは、これ一般的にはそうなんですが、だとすれば第三者委員会に、先ほども申し上げましたけれども、すればいいわけであって、そういう措置が必要だろうと思いますよ。それぐらいのことをしなけりゃ個人情報の保護に力を入れていますとは言い切れない、言えないんじゃないのかということを申し上げておかなきゃならぬと思うんです。
 様々まだいろんなことがありますが、限られた時間の中でありますし、そういう意味では、いろんな、どうしても、今申し上げてきたように、この法律は極めて拙速な、まだまだ詰めなきゃならぬ問題いろいろとある中で拙速に出されている。こういう点でいうならばこれは賛成し難いということを最後に申し上げて、私の今日の質疑を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。