2008.9. 30

1.  麻生首相の所信表明演説を聞いて、「敵意むき出しで国民をないがしろにした、まるで野党に転落した自民党総裁の表明だ」と感じたのは私だけではないだろう。
 本来、所信表明演説とは、自らの内閣が何をするのかを国民に明らかにすべきものだが、その内容に乏しいばかりか、民主党・野党に批判と質問を繰り返し、そのうえ代表質問でその批判に答えよと迫る異常な内容であったからだ。目前に迫った解散総選挙での与野党逆転の危機感からの選挙向け演説であった。


2.
 麻生首相が民主党・野党を批判し質問したのは、(1)国会で合意形成のためのルールを作る用意があるか、(2)補正予算案の賛否は、(3)消費者庁設置の賛否は、(4)日米同盟と国連とどちらを優先するのか、(5)インド洋での給油支援から手を引いていいのか―の5点である。
 民主党の見解はいざ知らず、これに対する社民党の見解は、(1)政府・与党こそ、国会での徹底審議を通じ、国民の意思を踏まえて法案や予算案を修正するルールを提案すべきだ、(2)現下の経済情勢を考えれば1.8兆円規模の経済対策では役立たず、だからわが党は9兆円規模の財源を含めた緊急経済対策を提案しており、政府案には反対だ。(3)消費者主役の強い権限をもった消費者庁設置であれば賛成だ。(4)日米同盟か国連優先かではなく、国の最高法規である憲法こそ優先すべきである。(5)インド洋での給油支援は憲法違反であり反対であるーと明確である。


3.  逆に、首相は所信表明で以下の点には何も言及していない。(1)今年度内に定額減税を実施すると約束したが、その規模や財源はどうするのか、(2)道路特定財源の全額一般財源化は実行するのか、(3)基礎年金の国庫負担割合を来年4月から引き上げるための財源手当てはどうするのか、(4)「1年を目途に」後期高齢者医療制度の何を見直すのか、(5)疲弊させた地方や医療をどう再建するのか、(6)全勤労者の3分の1にも拡大した非正規雇用をどう正規化していくのかーなど。
 わが党は、民主党の財源策に一部異論を持つが、しかし今、上記(1)〜(6)についての財源策をまったく示さない首相こそ、政権担当者に値しない。


4.  いずれにせよ、首相は野党の見解を質すという異例の演説をしたのだから、衆・参の代表質問ではこれらに誠実に答弁し、その後の予算委員会を逃げず、徹底審議を促進し、それに応えるべきである。それが「明るい日本を蘇らせる」と大言壮語した首相の責任である。



以 上