2010.4.6

1.  2005年8月5日、私は、参院の郵政民営化特別委の審議の締めくくり討論で「郵政民営化法案は、審議をすればするほど、財界のビジネスチャンスづくりに奉仕をし、米国や外資の要求に応えようとするために、身近で便利な郵便、貯金、簡保の三事業一体のネットワークと、それによって初めて可能なユニバーサルサービスを解体しようとするものであることが明らかになってきた」と指弾した。
  因みに、その3日後、小泉首相は参院での法案否決を理由に衆院を解散した。
  以来4年余りの間に、その弊害が次々と現れてきた。私は、昨年6月、参院総務委員会で、(1)4分社化や簡易郵便局の閉鎖で郵政のユニバーサル(全国均一の安定的)サービスが低下、(2)国民共有財産である「かんぽの宿」や不動産を特定業者に不当廉売、(3)社長出身の三井住友銀行とのカード事業の癒着、(4)大量の簡易生命保険の未払、(5)三井住友銀行の専務らへの便宜供与、(6)低料第三種郵便物の不正認可、(7)職員の大量解雇につながる日通と宅配便の統合推進、(8)職員へのノルマ販売強要、(9)急速に進む非正規職員への置き換え…などを追及した。


2.
 これらに対して、当時の西川善文・日本郵政株式会社社長は、「ただいま御指摘をいただいた項目それぞれについて、もう一度よく考え直してみる必要のあるところだと存じます。…公社時代の話も含めまして、民営化の過程でグループ各社において予想外の様々な問題が出てきたことも事実でございます。国民、利用者の皆様に御迷惑をお掛けしたという点については、日本郵政グループを代表してお詫びを申し上げたい」と応えざるを得なかった。
  いま問題となっている郵政改革とは、この西川元社長が述べた「民営化の過程で…予想外の様々な問題が出てきたこと」を是正することに他ならない。
  そのため、連立3党は、昨年9月の政権『政策合意』の中で「郵政事業の抜本的見直し」を掲げ、その結果を郵政改革法として提出することにしたのである。


3.
 社民党は、昨年12月18日、改革すべき課題を18項目にまとめ、亀井、原口両担当大臣に提言した。その根幹は、(1)郵政三事業のユニバーサルサービスの再構築、(2)民営会社で国民負担なしにそれを実現する、(3)職員の約半数に膨れ上がった非正規職員の待遇改善、(4)それを可能とする政府意思の反映―などである。
 そしてその見直しと改革案策定に当たり、党を代表して私が参画し、国民新党の代表者とともに、昨年来、大塚担当副大臣らと協議に協議を重ねてきた。


4.
 この協議結果を踏まえ、3月24日、亀井大臣と原口大臣は郵政改革案の骨格を記者会見で発表した。その概略は次のようなことである。

  (1)郵政会社と郵便局会社・郵便事業会社を統合して親会社とし、その下に郵貯銀行と簡保生命を子会社とする、(2)政府から親会社への出資比率は1/3超、親会社から子会社への出資比率は1/3超とする、(3)三事業一体のユニバーサルサービスを課す他は民営会社としての自由度を高める、(4)ユニバーサルサービスのコスト確保等のため郵貯の預入限度額を2000万円(現行1000万円)に、簡保生命の加入限度額を2500万円(現行1300万円)に引き上げることを検討する、(5)郵政3社間の取引について消費税免税を検討する…などである。

5.
 これに関して、銀行・生保業界をはじめ様々な批判が出されてきた。曰く(1)「官業肥大・民業圧迫」論、(2)「地域金融機関の経営圧迫」論、(3)「消費税免税特権」論、(4)「国債運用傾斜」論などである。若干これらに反論しておこう。

  まず第1に、国民から求められるユニバーサルサービスを郵政3社に課す以上、そのコストを確保する(現状では年間約1兆2000億円)必要があり、そのために国民の利便性も含めて郵貯・簡保の限度額(他の民間は青天井)を一定引き上げ、郵政3社間の取引にかかる消費税を免税しよう(旧郵政公社にはなかった)というのが基本である。したがって「官業肥大・民業圧迫」論や「消費税免税特権」論はまったく当たらない。

  第2に、郵政3社には税金が投入されるわけではないし、会社形態は株式会社であり官業ではない。ユニバーサルサービスを課されてはいるが紛れもなく民業であり、「民業圧迫」論は当たらない。

  第3に、郵貯・簡保両社は資金を集める能力を有するが融資の手段を持たないので、その資金は地域金融機関の協調融資や連携融資、自治体の公共事業への投融資や地方債運用などにも比重を移していく。したがって「地域金融機関の経営圧迫」論は当たらない。

  第4に、一定の郵貯・簡保資金が国債運用に回され、国債の下落・経済混乱を抑えることは政府の高次の判断で取られてきたことであるから、今後政府がどうするかであって、郵政3社の「国債運用傾斜」論は当たらない。



以 上