2011.2.15

1.  わが党は、国民への公約違反である米軍普天間基地の沖縄県内移設に反対して鳩山連立政権から離脱したが、その後も民主党及び国民新党との「三党連立政権の『政策合意』は向こう4年かけて国民に実現を公約したものであり、与・野党に分かれても三党の共同責任である」ことの合意の上に、政府・与党がこれを守る限りは協力し、これに反する場合は毅然と対決する立場をとってきた。


2.
 この観点から、11年度予算についても政府・民主党と編成協議を行い、
(1)基礎年金の国庫負担割合は2分の1(2.5兆円)を確保、(2)高齢者医療制度の1割負担を継続、(3)介護施設整備を10万人分追加し、介護従事者の処遇改善、(4)待機児童の解消緊急対策10万人分を追加、(5)求職者支援、新卒者・若年者支援、正規化支援強化など雇用対策を重視、(6)地方交付税総額は今年度を上回る17.4兆円を確保、(7)地域医療の再生など臨時特例交付金を拡充、(8)自治体独自の雇用対策・中小企業対策への支援を強化、(9)身近な公共事業や、公立の小中学校・高校、病院の耐震化・太陽光発電化・脱アスベスト化の促進に向け地域活性化交付金を創設、(10)児童虐待対策、DV対策、安心子ども基金を拡充、(11)鉄建機構の利益剰余金の活用は本来目的に十分留意、(12)普天間基地移設本体の経費は計上しない、(13)小学1年生の35人以下学級実施―などを盛り込むことができ、三党『政策合意』への押し戻し、国民の「生活再建」に一定の成果を上げることができた。
 しかし、なお法人税減税や沖縄の基地関連事業などについて問題や疑義があり、これらは衆院での予算審議の動向と修正協議を通じて明らかにし、予算案の賛否は、2月下旬頃に総合的に判断することとしてきた。


3.
 他方、年が明けて情勢は急転し始めた。菅首相は、民主党の政策を激しく非難してきた与謝野馨氏を経済財政担当特命大臣に任命(その後、柳沢元金融相も登用)したことに加え、通常国会の施政方針演説で(1)消費税を含む税制と社会保障の一体改革、(2)農林漁業などに壊滅的打撃を与えかねないTPP(環太平洋経済連携協定)への参加、(3)日米同盟の深化、米軍普天間基地の辺野古移設堅持、(4)デフレ脱却と矛盾する公務員給与の2割削減―を表明するなど、「第3の道」を唱えながら、自公政権時代の新自由主義政治回帰の傾向をさらに強めている。


4.
 こうした菅内閣の傾向は、「政権交代」に寄せた勤労国民の期待を裏切り、昨年秋から内閣支持率を急落させ、そして自治体選挙で敗北が続いたことを受け、民主党内で「国民生活が第一に戻れ」との批判を高める結果となっている。他方で自民党などからは消費税率アップの動き、子ども手当満額支給の断念等々を「マニフェスト違反」と突かれ政権運営の窮地に陥っている。
 そこで政府・民主党は、この局面を打開して予算関連法案の成立を図るために、衆院で3分の2以上の再議決を念頭にわが党の協力を求めてきている。わが党の協力がなければ、菅内閣は自民・公明との妥協、あるいは総辞職か解散総選挙を余儀なくされる。


5.
 わが党は、このような新自由主義回帰の菅内閣の延命に手を貸すことも、政府・民主党の便宜主義に付き合う考えもない。あくまでも政権交代に託された三党「政策合意」を守るのか否かを判断基準として菅内閣とその予算案に対応する。
 この観点から、昨14日、政府・民主党に以下の6項目を申し入れた。
(1)法人税5%減税は、雇用増・賃金引き上げなどの保証もなく、企業の内部留保が積み増される可能性が高いので、格差是正の観点からも反対である。
(2)成年扶養控除の縮減(「年収568万円(課税所得400万円)以下を除いて廃止」)は、当分の間、控除の存続を求める。  
(3)沖縄の基地移設関連予算、沖縄防衛局名護事務所設置及び高江ヘリパッド建設の予算は計上しない。             
(4)消費税問題については、「2013年度までは消費税率引き上げは行わない」旨を明確にした上で、1)徹底した行財政の無駄の排除(例えば、高額天下り役員の削減、不要不急の公共事業の削減等に向けた年次計画や、一般会計・特別会計全般の見直しなど)、2)不公平税制の徹底是正(例えば、法人間配当無税制度や租税特別措置の一層の切り込み、法人税・所得税の累進制や資産課税の強化に向けた年次計画提示)―などで財源確保を図る努力を明確にすべきである。    
(5) 国民健康保険料は低所得者層に重い負担となっている現状に照らし、国庫負担を1000億円増やすことを求める。            
(6) 子ども手当の給付額は一律1万3000円で据え置き、増額予定の財源は保育所増設などの現物サービスの拡充等に充てる。所得制限は行わない。
 以上6点を政府側がほぼ受け入れるならば、一部問題が残るにしても、「政策合意」は守られると言えよう。しかし、事態はそれほど甘くはないであろう。いずれにせよ回答を見た上で予算案及び予算関連法案への賛否を判断する。


6.
 一方、予算案に反対した場合、(1)三党の『政策合意』は事実上破棄となり、わが党の発言力は低下する、(2)労働者派遣法改正が困難になる、(3)民主党・菅政権支持の労働界の風圧が強まり、党支持労組は一層減少する、(4)民主・国新との選挙を含む協力は減退し打撃は避けがたい、(5)菅内閣が倒れ、ポスト菅内閣が自民党などとの連携で改憲推進内閣にならないか―などの懸念があることも事実である。
 しかし他方で、(1)連立政権の「政策合意」から逸脱し国民の信を失い新自由主義回帰傾向を強める菅内閣を糺すことこそ社民党の使命である、(2)民主党への「すり寄り」イメージを払拭し、党の存在価値を明確にするチャンスでもある―との意見も重要である。
 したがって、政策論だけでなくこうした政治論も十分検討し、「連立合意に押し戻す努力」をギリギリまで尽くした上で、2011年度予算案及び予算関連法案への賛否をそれぞれ判断することになる。


以 上