2013.10.14

(1)  平和フォーラム北信越ブロック憲法集会に結集された皆さんに敬意を表します。
 明日15日、第185回臨時国会が召集され、会期は12月6日までの53日間です。安倍内閣は「成長戦略実現国会」と名づけて、産業競争力強化法案、国家戦略特区関連法案、社会保障制度改革プログラム法案などを提出するほか、憲法違反の集団的自衛権行使を前提とした国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案、特定秘密保護法案などの成立も目指しています。だから彼らには、「改憲実行国会」とも言えるでしょう。
 一方、「アベノミクス」、消費税増税に伴う経済対策、福島原発事故対策の不手際と原発再稼働・輸出問題、TPP参加交渉など、安倍内閣を追及すべき課題は山積みです。
 衆・参両院で与党が安定多数を占めた状況の下、野党共闘の一層の強化が求められますが、民主党も維新の会もみんなの党も党内に問題を抱え、結束にはいま一つです。社民党としては、こうした状況を踏まえつつ、本日選出される新党首を先頭に、一致できる課題での野党共闘を粘り強く追求し、また院外の大衆運動とも連携して政府・与党と対決し、「国民犠牲と改憲実行国会」にさせないために奮闘していく決意です。
       
(2)  時間の関係で、集団的自衛権行使を前提にした国家安全保障会議設置法案と特定秘密保護法案についての憲法上の問題点を申し上げたい。
 周知のように、政府はこれまで、集団的自衛権については「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」と定義した上で、「我が国が、国際法上、集団的自衛権を有していることは主権国家である以上当然であるが、憲法第9条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されない」との見解を表明し(1981年5月29日の政府答弁書)、この見解と憲法解釈はその後30年以上一貫して維持されてきたものです。
(※ 憲法第9条の下で許容される自衛権の発動は、@我が国に対する急迫不正の侵害(武力攻撃)が存在すること、Aこの攻撃を排除するため、他の適当な手段がないこと、B自衛権行使の方法が、必要最小限度の実力行使にとどまること−の3要件に限定される―政府答弁書
 ところが、昨年末の総選挙で勝利し首相に就任した安倍氏は、本年1月13日のNHKテレビ番組で、「集団的自衛権行使の(憲法解釈)見直しは安倍政権の大きな方針の一つ」と述べ、2月のオバマ米大統領との首脳会談では集団的自衛権の行使容認に取り組む考えを表明し、その後、自民党が衆院選の公約に掲げた「国家安全保障基本法(概要)」―これは12年7月に自民党総務会で決定した―に沿ってなし崩し改憲・解釈改憲に乗り出したのです。
       
(3)  この「国家安全保障基本法(概要)」の中身は、憲法上許されない集団的自衛権の行使を、憲法改正を経ることなく、個別法によって容認してしまおうというもので、それ自体が憲法第98条に違反し無効とされる行為、憲法への重大な挑戦です。
 例えば、第10条では「国際連合憲章に定められた自衛権の行使」のタイトルで、「我が国、あるいは我が国と密接な関係にある他国に対する、外部からの武力攻撃が発生した事態…」に我が国が自衛権を行使するとし、第5条には「政府は、本法に定める施策を総合的に実施するために必要な法制上及び財政上の措置を講じなければならない」と規定し、第6条では「国の安全保障に関する基本的な計画を定めなければならない」と定めて国家安全保障会議の創設や自衛隊法の改正などを上げています。そして第3条では「我が国の平和と安全を確保する上で必要な情報が適切に保護されるよう、法律上・制度上必要な措置を講ずる」と規定し、特定秘密保護法案を提案するなど、憲法改悪メニューを並べ立てた、それこそ憲法違反の「基本法」なのです。
       
(4)  このように、日本版NSC設置法案と秘密保護法案は、憲法上許されない集団的自衛権の行使を前提とした「国家安全保障基本法(概要)」に基づく憲法違反の法案です。
 言うまでもなく、わが国の安全保障・防衛政策は、憲法前文と第9条が規定している恒久平和主義、平和的生存権の保障という憲法の基本原理に基づいて策定されるべきものです。だから、時々の政府や国会の判断でこの基本原理の解釈を変更することはもとより、これを法律の制定という方法で変更することは、憲法を最高法規と定め(第10章)、憲法に違反する法律や政府の行為を無効とし(第98条)、国務大臣や国会議員に憲法尊重擁護義務を課することで(第99条)、政府や立法府を憲法による制約の下に置こうとした立憲主義に背き、到底許されざる行為なのです。
       
(5)  このように、戦後政治の中でも安倍内閣ほど露骨に立憲主義を踏みにじり、あの手この手でなし崩し改憲・解釈改憲を進める内閣はありませんでした。
 そもそも憲法とは、主権者たる国民が政治権力を規制・制約して最高法規である憲法に明記した平和・人権条項の実現を図るものです。憲法で制約されるべき政治権力が憲法改正手続きを経ないでその条項の解釈を勝手に変更したり蹂躙しようという振る舞いは、歴史への反逆、戦後政治へのクーデタ−とも言うべきです。その思想的背景は、米議会調査局の報告書(5月1日付)で「帝国主義日本の侵略やアジアの犠牲を否定する歴史修正主義にくみ」する「強固な国粋主義者」と指摘されるごとく、極めて危険です。
       
(6)  まさに今、主権者・国民が問われています。憲法によって戦後長きにわたって築いてきた平和国家・日本を米国と肩を並べて戦争のできる国に変えてよいのか、それはまた憲法25条や27条の規定に沿って築かれてきた健康で文化的な生活の保障や人間らしく働く労働権が壊されてよいのか、民主主義の根幹である国民の知る権利が制約されてよいのか―などが国民に突きつけられているのです。
 今こそ、安倍内閣の憲法改悪の狙いを職場・地域で学習し、集団的自衛権の行使反対・改憲阻止、平和的生存権を守らせる大きなうねりを作り出していかねばなりません。
       

以 上